■シロさん、初めてのセクハラ
ついに、弁護士としてのスタンスを「素敵です」と言われ(長森に好意を持たれることへの)危機感がマックスに達した自意識モンスター・シロさんは「彼氏がいてくれたら変な関係になることもないのに……」という藁をも縋る思いから、下心一切ないのにもかかわらず禁断の質問をぶつけてしまう。
「長森さん、彼氏いるの?」
目を輝かせ職務に意欲を見せていた長森の目がみるみる曇り、そして彼女の中で何かが消えた。
この時の西島の「下心は一切ないのに考えすぎて逆に下心満載に見える表情」が見事。
とても変質者っぽかった。
結局この後、シロさんは長森の担当を外されてしまう。
上司に「筧先生、ちょっと焦っちゃったかな」とあえて明るく言われたのが余計に悲しい。
彼氏の質問をした瞬間に我に帰り「しまったぁぁぁぁ!」と心の中で叫んだほどだから、かなり正常な判断ができなくなっていたのだろう。
イケメンなのに実に残念な部分を惜しげもなく見せてくれる。これをあのパーフェクトな役の印象の強い西島秀俊が演じているのだから落差にクラクラする。ファンでなくてもたまらないだろう。
ちなみに、「油断してると(長森に)パクッと食われちゃうよ?」とパートナーのケンジ(内野聖陽)に嫉妬半分に言われ「俺は小動物か!」と微妙にヘタクソなツッコミをするシロさんも何だかんだよかった。
決して演技の幅が広いわけではない西島が得意分野の芝居からはみ出たときの、えもいわれぬむず痒さが癖になる。
せっかくだから公安の役とかでは絶対に見せない西島の、もっともっとダメな感じを存分に見せてほしい。