毎度泣かされる『きのう何食べた?』乾いた原作がしっとりしたドラマに

柿田太郎

 みんな大好き『きのう何食べた?』(テレビ東京系)第3話。振り返ります。

 

■シロさん、実家へ帰る

 実家へ帰るシロさんこと筧史郎(西島秀俊)。両親はシロさんがゲイであることは知っていて一応受け入れてはいるのだが、平静を装いつつ水面下でずっとギクシャクしている。

 土産でシロさんがエクレアを渡すと、喜びながらも「こういうことに気が利きすぎるっていうのも、やっぱりちょっと女の子みたいねえ」と呟く母親(梶芽衣子)。

 あげく「お母さん、史郎さんがゲイでも犯罪者でも、史郎さんの全てを受け入れる覚悟は出来てるつもりよ」とズレた決意を口にする。

 第1話でも「同性愛者であることは、ちっとも恥ずかしいことじゃない」のだから周囲にカミングアウトすべきだとか、LGBTの集まりに参加して来ただとか、よかれと思ってやってはいるものの、そのことについてそっとしておいてほしいシロさんを刺激する。

 おおらかに構えている父親(志賀廣太郎)も、シロさんの身体の心配をしつつ「で、どんな女だったら大丈夫なんだ、お前は?」とぶつけてきて、シロさんの笑顔を一瞬にして固くさせる。

 原作ではコミカルに描かれている部分だが、しっかり映像化されるとややヘビーな印象を受ける。

 ドラマでももちろん面白く描かれているのは変わりない。

 だが、原作では主にこういう理不尽な言葉を浴びせられたとき、シロさんの顔があからさまにコミカルになる(目が点になるとか一筆書きみたいなシンプルな顔になるとか)ので軽い印象になっているが、ドラマではその辺の表現はできないので、生々しさが勝ってしまうときもある。

 

■親でもパートナーでもない佳代子の存在

 そんな中、シロさんが唯一自然に付き合えているのが、買い物シェア仲間の主婦・佳代子(田中美佐子)だ。

 今回も特売のキャベツをコールスローにするために、買い物帰りに佳代子の家に立ち寄り、両親との出来事を嘆きながら調理していた。

 たまたまバレてしまったものの、佳代子はシロさんがゲイであることに対しほっといてくれるスタンスなので、シロさん的に気楽に日常をさらけ出せる存在になりつつある。

 だが、佳代子にとってシロさんはあくまで「他人」で「家族とは違う」から、ゲイでも自然と付き合えるだけで、自分の娘がもしレズビアンだと告白してきたら、冷静ではいられないかもしれないと佳代子は言う。

 こういう第三者の意見が聞けることも、シロさんにとって貴重だ。

 当然なのだが、美男美女なのに色恋の展開には一切ならず、2人きりでいるところに佳代子の夫・富永(矢柴俊博)が帰宅してきても双方慌てることもなく、富永も普通にシロさんを受け入れている。

 そんなシロさんにとってある意味オアシスのような富永家に、“ある男”がやってくる。

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