毎度泣かされる『きのう何食べた?』乾いた原作がしっとりしたドラマに

柿田太郎

■小日向さん登場

 テニス仲間を大量に連れて帰宅した富永がシロさんに紹介したのは、その中の一人・小日向大策(山本耕史)。

「ゲイ同士、仲良く友達になれるかなぁと思って」という乱暴な理由だが、富永に一切悪気はない。

 少しだけ動揺するシロさんに対し、キャラもあるが落ち着き払っている小日向。

 小日向は原作ではもっとガッチリして無骨な、いわゆるゲイ受けするビジュアルなので、西島と同じくらいの体型で柔和な山本耕史のキャスティングを不安視する声も多かった。

 しかし持ち前のなりきり力でその「違和感」をねじ伏せた感がある。

 しっかりとシロさんの目を見据え、悠然と動く所作は不気味ながらも面白く、目が離せない。

 小日向の恋人はジルベール。少年愛を果敢に描いた漫画『風と木の詩』(小学館)の美少年に似てるとの理由から小日向がつけた呼び名で、そのジルベールからいじめられた喜びを「悲劇」として語りつつ、実はのろけているだけの小日向。

 そのノロケをすぐに見破り遠慮なく指摘したシロさんも、顔は笑ってないけどそれはそれでどこか楽しそう。

 会話の内容はわかってないのに仲良くなった(ような)二人を見て、富永は「ナイスゲーム」と満足気。

 西島の想像の中だからか、ジルベールは金髪でなぜか英語を話す(字幕付き)。なのに日本語の小日向と会話が成立してる。原作では日本語同士だったので、この辺の遊び方も面白い。

 溺愛するジルベールが何かするたびに「あ、かわいい」と乙女のように呟いてしまうという芝居をする山本耕史もいい。役者バカの血が騒いでいるのがわかる。現場もきっと盛り上がっていたのだろう。

 今後の登場に期待したい。

 

■冷凍をうまく使うシロさん

 今回作ったのは、鳥もも肉のトマトソース煮込みなど。例によって地に足ついた日常の料理しぐさがリアル。

 冷凍しておいたピザ用チーズを急きょトマトソースに足してみたり、結果、それが功を奏しコクが増すなど、日常料理の中に転がるちょっとした喜びを見せてくれた。

 終盤でも軽く晩御飯を済ませるため、冷凍ご飯をチンするくだりがあり、倹約料理好きのシロさんらしい。コンビニでライスを買ったり、サトウのご飯を買うなどあり得ないのだろう。

 

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