三浦春馬、最後の主演映画『天外者』公開! 新時代を切り開く才人との惜しまれるお別れ

長野辰次

三浦春馬、最後の主演映画『天外者』公開! 新時代を切り開く才人との惜しまれるお別れの画像3(c)2020「五代友厚」製作委員会

 武士である五代がビジネスに目覚めるきっかけとなるのが、遊女・はる(森川葵)とのラブロマンスだった。「女でも本が読めるようになりたい」という読書好きなはるのために、英和辞書を贈る五代。お互いに想いを寄せ合うが、五代が薩英戦争で英国軍の捕虜となったことから離ればなれに。五代がようやく長崎に戻ってきたときには、はるは身請けされて日本から姿を消していた。

「金のために夢も持てず、それでも幸せなのか?」お金のために売られていったはるのいない遊郭で、五代を演じる三浦春馬の悲痛な叫びが響き渡る。お金のために悲恋を味わう五代は、その後は「商人こそがこれからの世界を動かす」という信念を持つに至る。ビジネスの世界なら、国境も男女差別もないからだった。

 三浦春馬にとって、時代劇に主演するのは初めてだった。だが、俳優としてのセンスのよさ、才能を遺憾なく発揮している。殺陣のシーンでは、俊敏な立ち回りを見せている。捕虜として英国船に拉致された五代がようやく解放され、はるの待つ長崎へと急ぐシーンでは、上半身を揺らさずに走るナンバ走りを披露している。時代劇の所作を貪欲に自分のものにしていた。その一方、世代の近い三浦翔平たちとの談笑シーンや、森川葵や蓮佛美沙子ら女優陣との共演シーンでは、とびっきりに明るく、そして優しい笑顔を振りまいている。

三浦春馬、最後の主演映画『天外者』公開! 新時代を切り開く才人との惜しまれるお別れの画像4(c)2020「五代友厚」製作委員会

 これまでにも三浦春馬が好演した作品は、数多くある。駅伝を題材にした『奈緒子』(2008年)では陸上部のエースとしてチームを引っ張り、『君に届け』(2010年)ではキラキラと輝く王子さま系高校生を嫌味なく演じてみせた。作品の出来には賛否ある実写版『進撃の巨人』二部作(2015年)では主人公エレンを演じ、容易ではないワイヤーアクションに果敢に挑んでみせている。近年はミュージカルや舞台での活躍が目覚ましかった。

 明治維新では、才能ある者ほど早く散ったと言われている。三浦春馬も生きていれば、これからの新しいエンタメ界に欠かせない存在となっていたことは間違いない。享年30歳という駆け足の生涯だった。奇しくも本作のラストシーンは、三浦春馬とのお別れの場のように思え、胸が締め付けられる。

(文=長野辰次)

『天外者』
監督/田中光敏 脚本/小松江里子
出演/三浦春馬、三浦翔平、西川貴教、森永悠希、森川葵、蓮佛美沙子、生瀬勝久ほか
配給/ギグリーボックス 12月11日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
(c)2020「五代友厚」製作委員会
https://www.tengaramon-movie.com

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