そして、『Summer Music Camp』の 1 日目の大トリを飾ったのは、広瀬香美。懐かしさを想起させつつも、水を得た魚の用に「ストロボ」から「ロマンスの神様」まで数々のヒット曲とともにリスナーとコミュニケーションを取りながらピアノを弾く。熱を静めるかのように軽快なピアノとともに始まった「真冬の帰り道」。さらには、中島みゆきの「時代」のカバーも披露され、コロナ禍の中でいま「すごく響く」といったコメントも。
思わず親近感がわく、エネルギーに満ちた優しいライブ。野太いようで繊細さも感じられる不思議な歌声が画面越しいっぱいに響くと、瞬く間に押し寄せる声のパワーに「最高」「元気が出る」とのコメントが溢れた。ステージが画面越しであることも忘れ、目の前にいるかのような錯覚に陥るほど見事な歌唱。配信にもかかわらず、唯一無二の歌声を誇り、極上の一体感を生み出し、素晴らしい余韻を残してくれた。
約 6 時間に渡る TikTok の夏フェスは本場のフェスさながら、そのステージにも視聴者にも熱が宿っていた。長丁場の配信フェスでは、時折バックグラウンド再生などを使い、贅沢なラジオ番組のように配信を楽しんでいた視聴者も多かったようだが、ライブ後のスペシャルトークセッションのゲストにきゃりーぱみゅぱみゅが登場すると、コメント欄は質問の嵐。
生のライブの楽しさはもちろんだが、トークを織り交ぜた音楽番組のようなプログラムに、新たな配信ライブの在り方と TikTok を通じてアーティストとコミュニケーションする面白さを知れたような気がした。きゃりーぱみゅぱみゅがトークで話題の「かまいたち」の振り付け動画を紹介すると、ハッシュタグチャレンジ「#この糸は切れない」に MC の光がデュエット機能を使ってコラボした動画を自身のアカウントに投稿すると約束を残し、『Summer Music Camp』の 2 日目に繋がれた。
(取材・文=後藤千尋)