1月24日、オリコン恒例の『好きな司会者ランキング』が発表された。1位を飾ったのは、3年ぶりの返り咲きとなったマツコ・デラックスだった。
「司会を担当する番組は『マツコの知らない世界』以外は、深夜番組。いわゆる番組を進行させる司会というよりも、“なんか面白いことやって見せなさいよ”といった視点から企画に参加し、ズレや違和感を指摘し、ツッコミを入れ、新たな視点や切り口を提示して見せる。
そのすべてが視聴者の半歩先をいきながら『確かにそう!』と共感を呼ぶ絶妙の精度で繰り出される。司会者としては、これまでにないスタイルを確立しており、それが多くの視聴者に受け入れられていますから、1位も当然では」(テレビ雑誌記者)
マツコの番組にゲスト出演したことのある一般人に話を聞いたことがあるが、収録時のマツコについて、こう言っていた。
「番組に出演するにあたって、ディレクターの方と何時間も打ち合わせをさせてもらって、こちらの言いたいこと、伝えたいこと、展開を、ディレクターさんを相手に練習もして本番に臨みました。なのに、マツコさんは、本番では、全然、その練習通りに話をさせてくれないんです」
ここに、マツコ一流の司会術があるようだ。
「全然、違う話をしたり、台本通り進みかけたかとおもうと、本題と違うところに引っかかって話がどんどん脱線していくんです。事前に聞かされていた収録時間をオーバーしても、そんな状況が続くので、内心“いいのかな〜”とも思っていました。でも、練習していたことよりも、予定外に話したことが、だいたいウケるんですよ。
で、少し調子が出てきたかなというところでピシャッと突っ込まれたり、冷やかされたりして、それがまたウケる。用意した話はほとんどできなかったので、正直、やや消化不良でスタジオを後にしましたが、オンエアを見たら言いたかったことはナレーションや差し込み映像でフォローされていたし、周囲の評判はすごく良かったので、さすがだなと思いました」
つまり、マツコは用意された話に頼るのではなく、出演者の、その場で思わず飛び出てしまう計算外の言葉や表情、リアクションを引き出して番組を盛り上げようとしていたのだ。