『きのう何食べた?』(テレビ東京系)が終わってしまった。
ドラマ内で目まぐるしく季節が過ぎるため、登場人物らと長く同じ時を過ごしてきた感覚になっているので、寂しさもひとしおだ。
最終回となる今回は、ドラマでは珍しい1クール中で2度目の正月を迎え、シロさん(西島秀俊)の実家訪問(といっても近い)に同性パートナーのケンジ(内野聖陽)が同伴し挨拶しに行くというビッグイベント回。余韻に浸りつつ振り返りましょう。
■ちょっとした対立から感じる店長夫妻の危うさ
パートナーの親と初めて会うにあたり、普段生やしてる髭を剃るべきかどうか? と職場(美容室)の仲間に意見を聞くケンジ。
「少しでも印象良くするために剃るべき」という店長(マキタスポーツ)の意見に対し「普段の顔を見せないなら親に会う意味がない」という真っ向からの反対意見をぶつける店長の妻・玲子(奥貫薫)。
その時だけ誤魔化しても「親はそんなの見抜くよ」と玲子は言い切るが、ばれてないつもりの店長の浮気を実は見抜いている(第10話)玲子だけに、妙な説得力がある。どちらが正しいかは別として、この何気ない「対立」から店長夫婦の亀裂が思ったより深いことが窺える。
この原作にない顔見せ程度の短いくだりの中に、店長の夫婦関係の「その後」をさりげなく入れ込んでいるのが上手い。
結局シロさんの意向もあり、当日髭は生やしたままシロさんの実家へ向かうケンジ。ケンジは玲子が店長の浮気を知りながら泳がせているのも知ってるので、その辺の心情も作用してるのかもしれない。
とはいえ服装はスーツで正装してるわりに絶妙にトレンチコートが似合ってないのがいい。内野自身は似合うタイプの人のはずなのに恐るべしケンジのオーラ。