それでも福原愛が台湾で失望されない理由
ハヤシコダマ
「辛すぎて逃避した結果が日本でのデートだったのかもしれない」(40代女性)
「江さんの実家は台北ではなく新竹。都会ではないため、各家庭に伝統的な考えややり方が深く根付いている。日本人の愛ちゃんがついていけないのも無理はない」(40代男性)
「愛ちゃんは義家族への遺憾を、週刊誌を通して表現したのでは? 実際には不倫はしていないような気がする」(50代女性) というような回答もあった。福原を擁護するような空気も漂っているが、それには台湾という地域性が絡んでいる。 台湾の心理師がFacebookに投稿した見解によると、台湾は北部、南部、客家人、原住民など地域環境の違いだけでも家族間で多くの問題が起こりうるデリケートな国柄だという。国際結婚であればなおさらだ。 また、戦前から台湾で暮らしていた人とその子孫、戦後、中国の国共内戦に敗れて大陸から渡ってきた人とその子孫の間でも考え方の違いが見られることもある。 ほかにも筆者の周りの台湾人たちは口を揃えて、大陸の中国語と台湾の中国語の違いが関係していると主張する。 「愛ちゃんの中国語レベルはとても高いですが、彼女が中国語を習得した場所は台湾ではなく、中国。同じ北京語だと思われがちですが、大陸の中国語と台湾の中国語とではニュアンスがまったく違うことがままあります。夫家族との間に思い違いや行き違いが生じないわけがないんです」(40代女性) そういった背景もあってか、台湾では日本ほど福原が非難される事態にはなっていない。それどころか、ご丁寧に福原が日本で信頼を取りもどすためにするべきことを指南しているメディアもある。 台湾の経済誌「今周刊」のWEBコラムでは、福原がいかに日本人から許されないかを示した上で ■福原は子どもを傷つけず、江と一緒にもう一度この局面に向き合いけじめをつけること ■NHKはもう無理だろうが、民放局で東京オリンピックの卓球解説をうまく成し遂げること ■離婚後、子どもを引き取りシングルマザーとして一生懸命に働いて奮闘すること などを再起の条件として挙げている。 福原が上記を実現できるかどうかは別として、愛ちゃんスマイルが戻ってくるのは、日本より台湾が先なのかもしれない。
(文=ハヤシコダマ) <プロフィール>
台北在住フリーライター。観光、エンタメ、時事ネタを中心にライティング活動を行う。現地のメディア向けに中国語で執筆することも多数。