(c)2020 Continental Circus Pictures
2019年8月～９月に行なわれたロケ撮影も異様なほどに盛り上がり、許可を取っての撮影だったものの警察が駆けつける騒ぎとなったそうだ。とりわけ本作のクライマックスとなるミュージカルシーンは撮影許可の下りていた時間枠ギリギリまでかかり、プロデューサーは警察に出頭する覚悟でいたらしい。山本監督もキャストもみんな、マリファナハイならぬムービーハイに陥っていたようだ。
「くだらない既成概念と世知辛さをぶっ飛ばして、楽しく作ったものを、ただ楽しく届けたい。呆れ返るようなエネルギーに触れて、ポカーンとなればいい」と山本監督は語っている。町田康主演の『熊楠 KAMAGUSU』は1991年に撮影が中断したままとなっているが、この勢いできっと再起動してくれるに違いない。
コロナ禍で身も心もお疲れ状態の人たちに、『脳天パラダイス』をおすすめしたい。日々のストレスは、上映時間95分の本作が放つバカバカしさ、おかしな熱気によって、きれいさっぱり忘れることができるだろう。
一本の映画を観たことで、人生観が大きく変わることもある。『脳天パラダイス』は、それだけのパワーを秘めた怪作だ。
（文＝長野辰次）
『脳天パラダイス』
監督／山本政志 脚本／金子鈴幸、山本政志 撮影／寺本慎太朗 照明／渡邊大和 美術／木岡菜津貴
出演／南果歩、いとうせいこう、田本清嵐、小川未祐、玄理、村上淳、古田新太、柄本明
配給／TOCANA R15＋ 11月20日（金）より新宿武蔵野館ほか全国公開
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