ギョーカイ的ドラマレビュー その13

戸田恵梨香の心はムロツヨシと松岡昌宏のどちらに向かうのか?『大恋愛』第3回レビュー

編集部

 大恋愛第3回は、間宮真司(ムロツヨシ)の部屋で朝を迎えた北澤尚(戸田恵梨香)とのやり取りからスタート。真司の部屋に調理器具がないことを指摘し始めた尚は、「私がお金を出すから、家賃15万くらいのところに引っ越さない? 貯金なら5000万あるし」と言いだす。「5000万っ」とたじろぐ真司。

 前回あんなに真司に尚と別れてくれとせまった尚の母・北澤薫(草刈民代)は、真司が尚の病気を知って付き合おうとしていると分かり、すっかりふたりを認めた様子で、実家でふたり一緒に暮らしたら、と言いだす。その後自分のアパートで預金通帳を見る真司。その残高、12万0783円。

 とりあえず、真司は勤め先の引っ越し屋で、「シフトはどんどん入ります。これ(小指を立てて。って小指を立てて女の意味って、20年ぶりくらいに見たような…)に金がかかるもんで。ぜいたくなんです」とアピール。自分の部屋では、汚いと言われたキッチンや風呂をせっせと掃除する。

 一方、尚の元婚約者の精神科医は、井原侑市(松岡昌宏)は、母の井原千賀子(夏樹陽子)から3人の女性とのお見合い話を持ちかけられ、「1日に3人お見合いできる?」と投げやり。

 狭いベッドでいちゃいちゃする尚は記憶を失っていないか確かめる3つのキーワードを真司と取り決める。「一番好きな小説は?」「砂にまみれたアンジェリカ」「母親の旧姓は?」「三島」「真司が拾われた神社は?」「松代神社」。「この3つが言えなくなったら別れよう」と言う尚に、真司は「別れないよ」。

 さらに尚は、真司に「あたしの頭の中に鍵をかけて、記憶がこぼれ落ちないようにして」。「かけた」と言う真司の優しそうな様子に、今週も「ムロツヨシがこのドラマで急にかっこ良く見えて来た」との評判が急上昇か? ドラマの中の尚まで、「なんか真司がカッコいい人みたい」と笑い出す。

 その尚は、真司と待ち合わせたマンション内見の約束を忘れ、真司のアパートでは鍵穴に鍵が刺しっぱなしになっている。真司は侑市を病院に訪ね、尚の病気について助言を求めるが、侑市は「あなたは正式な夫ではないのでお教えできません。正式に結婚されたらいかがですか」と、つれない対応をする。その侑市のランチ、お茶、ディナーと1日3人のお見合いは、どれも妙な女性ばかりで、侑市は「もう誰でもいいよ」とますます投げやりになる。

 さて、侑市は、尚の若年性認知症の主治医なので、尚と診察で向き合う。尚が「このごろすごく楽しいことがあると逆にすごく悲しくなって、病気が進行するより前に、心が壊れてしまうんじゃないかと思う」と、記憶が失っていく恐怖に取り乱すと、侑市は「私はこの病気とずっと向き合ってきました。あなたはあなたらしく、出会ったころのようにポジティブでいてください。不安なことがあったらいつでも携帯を鳴らしてください」と言う。侑市は婚約者同士として尚と過ごしたふたりの時間が忘れられず、尚も主治医として頼りになる侑市を見直し始める予感。

 一方、無理に引っ越しのシフトをつめこんだ真司は、疲労から来る尿管結石で、救急外来に運ばれる。真司は尚には小説の新作を書いているように装っていたが、実は引っ越しバイトの量を増やしていただけだった。「バイトを増やしても大した金にならないし、ヒモになるのもしっくり来ないと思ってた」という胸の内を尚に吐露する真司。

 収入が少ないという真司のコンプレックスを刺激してしまった尚のことを、真司は「ひどいよな。ひどいけど好きなんだ。好きと嫌いは自分じゃ選べないんだ。好きになっちゃったから、どんな尚ちゃんでも好きなんだ」と抱きしめる。音楽が盛り上がって今回のフィナーレ、となるところを、尚が「好き。侑市さん」と言って、BGMが止まる。真司の名前を言い間違えたのは、そこまで若年性認知症が進んでしまったのか。はたまた尚の心の中で侑市の存在が大きくなってきたのか? 単なる難病純愛ストーリーでは終わりそうのない波乱の予感がしてきたところで、首を長くして次回を待ちたい。

里中高志(さとなか・たかし)
月刊誌などでメンタルヘルスや宗教から、マンガ、芸能まで幅広く書き散らかす。一時期マスコミから離れて、精神に障害のある人が通う地域活動支援センターで働くかたわら、精神保健福祉士の資格を取得。著書に、「精神障害者枠で働く」(中央法規出版)がある。

 

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