松本穂香、奈緒が共演した女同士のバディ時代劇! 角川春樹監督、最後の映画『みをつくし料理帖』

長野辰次

松本穂香、奈緒が共演した女同士のバディ時代劇! 角川春樹監督、最後の映画『みをつくし料理帖』の画像3(c)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

 本作の監督を務めたのは、原作小説の売り出しに尽力した出版社「角川春樹事務所」の角川春樹社長。予定していた有名監督がクランクイン直前に降板したことから、急遽メガホンをとることになった犯罪サスペンス『笑う警官』(2009年)以来となる11年ぶりの監督作だ。本作を「最後の監督作」と公言し、撮影に臨んだ。

 角川春樹監督最後の作品ということで、往年の角川映画を賑わせた顔ぶれが続々と登場するのも話題となっている。澪を可愛がり、店の厨房を任せる蕎麦屋の主人・種市に、『犬神家の一族』(1976年)の金田一耕助役が当たり役となった石坂浩二。澪が暮らす長屋の隣人・おりょうに、『スローなブギにしてくれ』(1981年)の浅野温子。澪と料理番付を争う高級料理店「日本橋登龍楼」の主人に、『麻雀放浪記』(1984年)の鹿賀丈史。他にも『男たちの大和/YAMATO』(2005年)の中村獅童、松山ケンイチ、『蒼き狼 地果て海尽きるまで』(2007年)の反町隆史、若村麻由美……。

 角川映画を観て育った世代には、薬師丸ひろ子、渡辺典子が出演しているのも感慨深い。『里見八犬伝』(1983年)に主演した薬師丸に、滝沢馬琴をモデルにした戯作者・清右衛門(藤井隆)の女房役を演じさせているのは、角川監督の遊び心か。また、野江を見守る又次役の中村獅童は歌舞伎役者だけに着物の着こなし、口跡がよく、本作の中でいちばん美味しい役を演じている。

松本穂香、奈緒が共演した女同士のバディ時代劇! 角川春樹監督、最後の映画『みをつくし料理帖』の画像4(c)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

 2013年に亡くなった夏八木勲さんも、元気だったらきっと出演していたに違いない。男くささが魅力だった夏八木さんは、角川春樹プロデュース映画には欠かせない俳優だった。助演が多かった夏八木さんを、実在の金融詐欺事件を題材にした『白昼の死角』(1979年)では主演に起用。SF時代劇『戦国自衛隊』(1979年)でも、準主役である長尾景虎役に据えていた。『復活の日』(1980年)や『天と地と』(1990年)などの勝負作でも、重要な役を任せた。

 夏八木さんも男の友情で、これに応えた。角川氏に逆風が吹き続けた時代、夏八木さんはボディガードを買って出て、角川氏を追い回すマスコミの前に立ちはだかったという逸話を残している。口数は少なかったものの、体の鍛錬を怠ることのなかった夏八木さんの存在は、実に頼もしかったに違いない。

 映画づくりで結ばれた男たちの熱い友情が、江戸時代の食を題材にした『みをつくし料理帖』では女同士の友情ものとしてたおやかに描かれている。そう思うのは、深読みしすぎだろうか。

(文=長野辰次)

『みをつくし料理帖』
原作/高田郁 製作・監督/角川春樹 脚本/江良至、松井香奈、角川春樹
出演/松本穂香、奈緒、若村麻由美、浅野温子、窪塚洋介、小関裕太、藤井隆、野村宏伸、衛藤美彩、渡辺典子、村上淳、永島敏行、松山ケンイチ、反町隆史、榎木孝明、鹿賀丈史、薬師丸ひろ子、石坂浩二、中村獅童
配給/東映 10月16日(金)より全国ロードショー
(c)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会
https://www.miotsukushi-movie.jp

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