松本穂香、奈緒が共演した女同士のバディ時代劇! 角川春樹監督、最後の映画『みをつくし料理帖』

長野辰次
松本穂香、奈緒が共演した女同士のバディ時代劇! 角川春樹監督、最後の映画『みをつくし料理帖』の画像1(c)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

 不条理な世の中に、刀ではなく包丁で立ち向かうのが、映画『みをつくし料理帖』の主人公・澪だ。原作となる時代小説『みをつくし料理帖』シリーズは、累計発行部数400万部を突破する大ベストセラー。上方から江戸へと上京してきた身寄りのない澪は、得意とする料理の腕を生かして自分の居場所を切り開いていく。

 これまでに『みをつくし料理帖』は、北川景子主演によるテレビ朝日版、黒木華主演によるNHK連続ドラマ版が放映されているが、映画版の主人公・澪に抜擢されたのは、日曜劇場『この世界の片隅に』(TBS系)で注目を集めた松本穂香。澪とは幼い頃からの親友・野江には、映画『事故物件 恐い間取り』がヒット中の奈緒を起用。江戸時代を舞台にした、女同士のバディムービーとして映画化している。

 原作者の高田郁氏(【高】は正式にははしごだか)は、かなりユニークな経歴の持ち主として知られている。兵庫県宝塚市に生まれ、中央大学法学部を卒業。司法試験を続けて受けるも挫折。その後、勤めていた塾が倒産。漫画原作者としてデビューするが、1995年の阪神・淡路大震災で自宅が半壊。さらに網膜に孔が開くという病気を患うことに。そんな中、「後悔したくない」という想いから、40代になって小説家の道を進み始めた。高田氏にとって初めてのヒット作が、2009年に発刊されたシリーズ第1作『八朔の雪 みをつくし料理帖』だった。

松本穂香、奈緒が共演した女同士のバディ時代劇! 角川春樹監督、最後の映画『みをつくし料理帖』の画像2(c)2020映画「みをつくし料理帖」製作委員会

 主人公の澪は、水害で両親を失い、火事によって勤めていた料理店が焼失するという不幸続きの人生を歩んでいたが、料理を作っている間は幸せな気分を味わい、澪の作った料理を喜ぶお客たちの顔を見て、より元気になっていく。遊郭で働く野江も、澪が心を込めた懐かしい上方の味がするお弁当を口にすることで励まされる。

 兼好法師が『徒然草』に書き記した「食は人の天なり」という言葉が、澪を支えている。「食事は人の命を繋ぐために、最も大切なもの」という意味の言葉だ。政治力も経済力もない、ただの町娘でしかない澪だが、日々料理づくりに情熱を注ぐことで周りの人たち、そして自分自身の人生を豊かなものへと変えていく。先行きの読めない不透明な現代社会において、信頼できるとても身近なヒーロー像だといえるだろう。

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