高校を卒業した“社会人デビュー”に思えなくもない。
ITTFワールドツアー・チェコオープンに出場した平野美宇のイメチェンに、世界の卓球ファンが度肝を抜かれた。これまでの純朴イメージの強かった黒髪から、明るい金髪に変えてきた平野。突然とも思える強烈なイメージチェンジは、開催まで1年を切った東京五輪の代表入りへの決意の現れだろうか。熾烈を極める代表枠争いに、新たな一石を投じることになるかもしれない。
チェコオープンの女子シングルス・ダブルスに出場した平野は、髪色をブリーチで明るくした姿を披露。スタンドの観客や報道陣を驚かせた。新生・平野美宇は快進撃を続け、シングルス準決勝では国際大会で勝ったことのなかった格上の石川佳純を4-1で撃破。決勝でも破れはしたもののフルセットに持ち込んでの銀メダル獲得と、五輪代表へ大きく前進した。“決意の”ブリーチは、この大会では吉と出たようだ。
卓球女子シングルスの代表枠は2枠で、2020年1月の世界ランキング上位2人が選ばれる規定になっている。平野と石川、さらに伊藤美誠（みま）の3人がその2つの椅子を激しく争っており、現時点では一歩リードする伊藤を石川、平野の順で追っている状況だ。チェコオープンでは伊藤がベスト16で姿を消していただけに、2人にとって巻き返しのチャンスであったことは間違いない。そのチャンスをものにしたのが、気合十分の髪色で下剋上を狙った平野だったのだ。
しかし平野の髪色を見たファンからは、「金髪にぶったまげた」などの驚きの反応が多く上がった。さらには「自分の良さを分かってない」「髪色黒に戻した方がいいよ」といった“黒髪派”のファンや、「金髪にして強さを取り戻したのか」と、2016年にITTFワールドツアーを制した“女王”の復活を期待する声も少なくなかった。
実は平野、今月10日に自身のInstagramに「初めてブリーチしてみました」とイメチェン後の姿をアップしている。さらにその髪でブルガリアオープンにも出場したのだが、そのときには髪色に大きな変化が無く周囲からあまり反応が無かったという。前回の反省をふまえて、チェコオープンの前に再び髪色を抜いたのだろう。“目に見える”変化で五輪への気合は伝わってきたが、それにしてもちょっと“やりすぎ感”は否めない。
