北川昌弘の「美女&美少女的ドラマ独偏批評」その24

ついに石原さとみ出生の秘密が……野島伸司脚本は一筋縄ではいかない?『高嶺の花』最終回への布石と9話レビュー

編集部
ドラマの“質”は脚本家で決まるのか、あるいは演出家、プロデューサーで決まるのか? 確かにそれもあるだろう。だが、作品に彩りを添えるのは女性キャストだ! 稀代の美女&美少女ウォッチャー・北川昌弘が送る、女性キャストから見るドラマ評――。

 いきなり衝撃の展開☆

 もも(石原さとみ)の部屋になぜか千秋(香里奈)が……。実は二人は中高からの唯一の親友で、しかも、新庄千秋はナースではなく、大病院グループのお嬢様で脳外科医。

 というわけで、友情半分、興味半分ではあるが、千秋は、ももが送り込んだ、ぷーさん(峯田和伸)さんへのハニートラップだった!? 地方ならともかく、東京で自家用車に乗ってるナースは凄いと思ったが、車が特別な高級車じゃなかったのは借り物だったからか?

 そして、神宮兵馬(大貫勇輔)のところにやってきたもも。
(なぜ、来たのだろうか? “もうひとりの自分”の種明かしをしてもらうため?)

もも「子供の頃の自分?」
兵馬「キミを迎えに来た自転車屋さんが見事言い当てたよ」
もも「それじゃ、彼が言う通り“もうひとりの自分”は……」
兵馬「心が大人になったキミには二度と現れない」
もも「でも、あなたは、恋愛感情がない相手に抱かれれば、戻れると……」
兵馬「怒らないでくれ。モブ(山中柔太郎)がね。
ボクとキミが、子供を作れば、とんでもない天才が生まれるというから」
もも「つまり、私にはもう……」
兵馬「みえなくていい。今のあなたも充分優れた華道家ですよ」
もも「それじゃ、私は、月島を」
兵馬「家元に離れない。不思議なんだ。ボクには妹さんが指名された意味がわからない。よほど、後妻のルリ子(戸田菜穂)さんに気を遣ってのことかな」
もも「それは私のうぬぼれを戒めんと」
兵馬「それこそ、意味不明だね。底知れぬうぬぼれこそが、我々を支えている」

 一方、家元(小日向文世)のところに、なな(芳根京子)とその母親ルリ子が来ている。ななは、自分が後継家元に指名された裁定に納得できていなかった。

もも「お家元、お願いです。どうか、納得のいくご説明を。このままでは私は……」
家元「他言するでないぞ。」
もも「はい」
家元「娘ではないのだ」
もも「は?」
ルリ子「え?」
家元「ももは私の本当の娘ではない」

 ついにもも出生の秘密を、ななとルリ子も知ってしまった。千秋が佳代子(笛木優子)の店で、ぷーさんたちと会っている。その模様を運転手さん(升毅)と車に乗っているももに携帯で中継。ももの家にはぷーさんは始めた生花が届いている。そして、神宮流の神宮兵馬と宇都宮龍一の生花対決が始まる。月島からは家元の市松ではなく、ももとななの二人がやってきた。ふーさんと千秋は公園で、読書の話?

千秋「婚活中と言ったんですけど、あれ嘘なんです」

 千秋は子供の頃、母親に弟と比べられて差別された話をする。神宮流の対決は、次元が違うレベルで兵馬が圧勝。
ななは宇都宮に「かわいそう……」と一票。そして、昨日、神宮流の家元が亡くなったことが発表され、この場で、神宮兵馬が神宮流の家元となった。

 そして、ももと宇都宮。宇都宮はももに、家元の娘ではないことをついに伝える。

宇都宮「“かわいそう”。オレからもあなたに言わせてくれ。上から目線ではなく、同病相憐れむということで」
もも「同病?」
宇都宮「あなたも亜流だ。いや、亜流ですら無い。タネさえ違うから。月島の家元の娘じゃないのさ、あんたは」
もも「寝ぼけたこと言わないで」
宇都宮「真面目な話さ。だからオレはななのレベルをあげるために暗闇を呼んだ」
もも「そんな話、信じると思う」
宇都宮「もう、おれにはどうでもいいことだ。だから、いまさら、嘘は言わない」
もも「信じない」
宇都宮「わかるだろう。自分が一番。ななより華道家として劣っているはずがないと。なのになぜ、お家元はななを選んだ。月島の俎上は周到に準備された出来レースだったんだ」(今日の神宮流の俎上とは違って)
もも「あなたのいうことなんか信じないから」
宇都宮「かわいそう」

 自転車店で、ぷーさんとコスプレ娘(高橋ひかる)。日本一周自転車少年(舘秀々輝)にメールで応援。実は自分に応援?

 そして、ももは家元と対峙。娘でないことを確認して、感謝を述べる。ももは植物園で泣いて、キャバ嬢に復帰。誰が連絡したのか、ぷーさんが駆けつける。そして家元の娘じゃないことをぷーさんにもぶちまけて荒れ気味。そのことで店の客と揉めたぷーさんを運転手さんが護身術で助ける。

 翌日、包帯コスのコスプレ娘と制服姿の佳代子の娘(田畑志真)のいる自転車店に運転手さんが見舞いに。

運転手「ケガは大丈夫かい」
コスプレ娘「私、レイヤーだから」(自分のことと誤解した?)

 プーさんの生花を取りに来た?

風間「分配しませんか?」
運転手「ぶんぱい」
風間「彼女の痛みの分配です。あなたとオレで」

 ぷーさんは父親は運転手さんだと見抜いていたが、運転手さんは否定。部屋を片づけている宇都宮のところへやってくるなな。

なな「私は月島の家元にはならない」
宇都宮「ありえない」
なな「お姉ちゃんのほうがふさわしい。だって天才なのよ」
宇都宮「関係ない」
なな「お姉ちゃんは血がつながってないから」
宇都宮「知ってるのか? なら話は早い。ああ、そうだ」
なな「関係ない。私にとってお姉ちゃんはお姉ちゃんだから」
なな「私はあなたと行くと決めたの」
宇都宮「頭でも打ったか」
なな「そうかも」
宇都宮「オレを憎んでないのか?」
なな「お母さんとのこと。あなたも必死だった。神宮流の家元になるために」
宇都宮「そのために、お前ら母娘を利用した」
なな「だから、しかたない」
宇都宮「なんなんだよ。オレは、暗闇を、毒をキミにはもったはずだ」
なな「残念でした。俎上で花を生けたら、その毒はどっかに消えちゃったみたい。お姉ちゃんは言ったは“それで元のイイ子に戻るなんて、宇都宮に抱かれてないのね”って。どうして、そうしなかったの? もしそうなっていたら、もっと憎んだかもしれない。お母さんも、あなたも、女として。どうして?」
宇都宮「お家元の実の娘だ。そこまでは頼まれてない」
なな「違うと思う。私に嫌われたくなかったのよ。憎まれたくなかったのよ。そうでしょ」
宇都宮「勘違いすんな。それはお前のことが好きだという感情とは別物だ」
なな「だったらな何?」
宇都宮「汚したくなかった。穢したくなかった。お前、そんな経験もしてないんだろ。くそっ。信じ切ったような顔しやがって……」
なな「今もまっすぐに見てるよ。今日は帰らない。心配しないで、汚れたり穢れたりしない。逆にあなたを戻してあげる。元のきれいなあなたに」

 ここはハッピーエンド? なんかよくわかんないけど、ちょっと感動してしまいました。

 ももの家で運転手さんと。ついに父親だと告白してしまいます。
もも「出てって。私の前にもう二度と現れないで。私に父親なんていない。出てって!!」

 そして雨の中、千秋がぷーさんの様子を見に。雨に濡れて、着替えて……下着姿(第1話の石原さとみ同様、露出度は低め)に……。

千秋「なんか、煮え切らない関係って、私、苦手で。だからって、重く考えられたくもないんですけど。私、あなたといると落ち着くの。こういうのなかったなあ。許されるなら、ずっとぷーさんの側に入られたらなあって」

 雷鳴響く。そのやりとりを携帯で聞いているもも。

もも「ヤバいクビレ見せるのかよ」
千秋「私なら、ぷーさんのことわかってあげられる。好きな人に、意地悪したり、辛い思いなんかさせない」
風間「千秋さん」
もも「私だって、素直になりたいよ」

 ついにここにきて、千秋ハニートラップ発動!

 以下、最終回。次号予告はシンプルに、

もも「私はお花」(花は存在するだけで美しい。もっと美しくできなければ、触ってはいけない?)

 なんと公式サイトの長めの予告では、ななが家元を辞退して、月島流を破門され、家元はももに?

 さらに、ももと宇都宮が婚約へ?
 ななはどうなる?
 千秋によるぷーさんへのハニートラップどころの騒ぎではない?

 みたいな最終回の模様。

 今回のももは家元の娘ではない問題。結局、ななは家元から説明され、ももは宇都宮から聞かされた。そしてももの本当の父親問題は、ぷーさんに気が付かれた運転手さんが、そのアドバイスもあり、ももに告白してしまう。

 まっ、こんな大きな秘密が、一気に明かされたわけだが、逆によくここまで守られてきたことが不思議なくらいだが。(それがドラマか)

 最終的には、ももがぷーさんと、ななが宇都宮龍一と落ち着くしかない展開ではあるが……。野島伸司の脚本に限って、そんな結末はない? どうなることでしょうか。それにしても、本当に華道の家元になるって天才的才能を維持するために大変なんだなあ。あるいは芸術って、みんなそんなに大変なのか。道を極めるわけだから……。

 ただ、市松やももがなにかとハニートラップが好きなのは、多分、市松も家元になるために、愛するももの母親に、結果的に先代からハニートラップをしかけられ、それのおかげで家元が務まっているのだとすれば、納得がいかなくもない(かってな推測ですが)。

北川昌弘(きたがわ・まさひろ)
1957年、北海道生まれ。成蹊大学卒業。美女&美少女ウォッチャー。執筆活動やメディアへ出演する一方、各地の芸能イベントでの取材活動を行い、アイドルランキング『T.P.ランキング』の資料収集に従事。1991年〜1992年オーディション番組『ゴールド・ラッシュ!』(フジ)の審査員。1996年〜『ザテレビジョン』ドラマアカデミー賞審査員。

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