猟奇刑事マルサイ
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「この本をワクワクしながら読みおおせたあなた、あなたは人として立派に倒錯しています」
『猟奇刑事マルサイ』の帯に書かれたロックバンド・人間椅子の和嶋慎治氏のコメントだ。そして、その通りだろう。『猟奇刑事マルサイ』は現代の奇病と言っていいくらいの“変態”、いわゆる性的倒錯者を扱った漫画だ。漫画自体は一話完結型のオムニバスだ。
全9話が収録されていて、どの話も救いようのない凄惨で悲惨な結末ばかりだが、この手の変態性を持った人からすればメリーバッドエンドの物語集とも言えよう。しかし不思議と読後には、博物館や美術館を見終えた後のような妙な充実感がある。それはきっと、大越孝太郎氏の描く絵と世界観が美しいからだろう。古屋兎丸氏や丸尾末広氏が好きな方はおすすめだ。
ただ、『猟奇刑事マルサイ』の場合、ホラーとかの以前に生理的によせつけない内容、タブーをのぞき見している感覚があるのでダメな人にはトラウマ以前の問題だ。恋人の家にこの本が置いてあったら、色々と注意した方がいいだろう。