73歳の“アニソン界の大王”を独占インタビュー! 日本のアニメブームの原点とは!? 【前編】

編集部
ささきいさお

  「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などアニメソング史に残る名曲の数々を歌い上げて、73歳にして今年3月に開催したコンサートでは36曲を熱唱した歌手・ささきいさおを独占直撃!“アニソン界の大王”に自身のキャリアや日本のアニメブームについて赤裸々に語ってもらった――。

  数多くの人気アニメ作品や特撮ヒーロー作品の主題歌を担当し、アニソン歌手の第一人者として知られるささき。輝かしいキャリアを誇りながらも、まったく偉ぶらない気さくで温厚な人柄はアニメファンのみならず、芸能界やアニメ業界でも慕う者は多い。

  そんな“アニソン界の大王”は、昨年にデビュー55周年を迎えたが、同年5月に行われた「ささきいさお 55周年記念バースデーライブ」では圧巻の低音ボイスで会場を沸かせた。
  同コンサートのチケットを手に入れられなかったファンの要望に応える形で、今年3月6日に実現した「ささきいさお デビュー55周年記念スペシャルライブ・アンコール」では、73歳にして『銀河鉄道999』や『ゲッターロボ!』、『宇宙戦艦ヤマト』、『行け行け飛雄馬』、『たたかえ!キャシャーン』、『進め!ゴレンジャー』、『秘密戦隊ゴレンジャー』など36曲をステージで歌い上げて、観客を魅了。5月25日リリースの新曲『今の向うの今を』も、初お披露目してみせた。

  だが、ささき本人は「自分ではスゴイとは思っていないし、長いとも思っていないです。悪戦苦闘の連続でしたし、本当に15年くらいしか経っていないという気持ちですね。まあ、この歳で新曲を出させて頂けるなんて普通では考えられないこと。周りの方やファンのみなさんの愛情ですよ、同情かもしれないけど」とジョーク混じりに笑顔で語る。

  73歳にして、いまだ現役バリバリのパワフルなステージを繰り広げる原動力は、いったいどこにあるのか?

「バリバリではないですけど、実際に(コンサートを)やってみて何となくできちゃったので、その勢いでやっている部分もあると思います。体力はいりますから、ジムに通ってエアロビクスなんかをやったりはしていますけど最近は夜更かしをしたり、怠惰な生活が多くなってきて。体力的には弱っているのかなという気もしますけどね」と謙虚に語る。

  70歳を過ぎて、“夜更かし”とは気になるところだが、「夜中に歌を繰り返し覚えたり、テレビを見てしまうとドラマや映画を最後まで観てしまって。昼間は何だかワサワサしていて、夜中の方が集中できるので、夜になると観ちゃうクセがついてしまって、良くないですよね」と苦笑い。 
  そのうえで、「最近は、テレビでも公開から間もない映画が観られたりしますし。海外の作品なんかだと、『こういうの、絶対に当たらないよね?』というような、映画館で上映するためには(配給会社が)買わない映画というのがありますけど、そういう中に意外と面白い作品があったりするんですよね」と映画好きの一面を覗かせる。

   “夜更かし”はしつつも、プロ意識の高いささきは歌手としての体力維持、体調管理も欠かさない。
  週3回通うこともあるというエアロビクスについては、「他の人と一緒にやれるので、エアロビクスは一番良いと思うんです。一人の運動というのは根気がいりますし、音楽がかかっているのでリズム感も良くなります。以前は愛犬がいたので一緒に公園を散歩したりしていたんですけど。犬がいなくなって、一人で歩くのもなんか気乗りがしなくて。ただ、僕が通っているジムは年配の方が多いのですが、一人抜け、二人抜けて、ついにそのクラスでは最年長になってしまって(笑)」

ささきいさお様2

  ささきが歌うアニメや特撮ヒーローの曲といえば、『宇宙戦艦ヤマト』や『立て!闘将ダイモス』、『秘密戦隊ゴレンジャー』など聴いていて元気になれる曲が広く知られている一方で「銀河鉄道999」のテレビアニメ版のエンディングテーマ『青い地球』をはじめ、シットリと聴かせるバラードにも名曲が多い。

「(テンポが)速い曲は元気さとか、勢いを意識しないといけないけど、バラードは情緒を大切にしないといけないですから。やはり歳を重ねるごとにバラードの方が得意になってきていますね。テンポが速い曲もイメージを裏切っちゃいけないので、そういう風に歌うように心掛けてはいるんですけど」

  ささきの歌手としての原点はロカビリーにある。
  高校時代から歌手活動をはじめ、1960年に“和製プレスリー”のキャッチフレーズで、エルヴィス・プレスリーのカバー曲『本命はお前だ』でロカビリー歌手としてメジャーデビュー。

「単純にエルヴィス・プレスリーが好きだったのと、僕はオーディオマニアですから、音楽の“音”、とくに低音が好きでね。歌手としてデビューした時はロックばかり歌っていました」と当時を振り返る。

  こうしてメジャーデビューを果たしたささきだが、その歌手活動はけっして平坦な道のりではなかった。

「一時期は歌手の仕事を辞めて、役者や声優の仕事をやっていました。10年くらいはレコーディングをしていなかったんです。その間にミュージカルにも出演させて頂いて、それで発声からやり直そうと。その時に歌を教えてくださったのが、島田歌穂さんのお父さんです。『正当発声』というよりは、ジャズの発声なので『自然発声』なのですが、それから声が出るようになってきました。また歌えるようになって、『レコーディングの機会でもあったらいいな』と思っていたところ、ちょうどそういった話を頂いて。それなら良い機会だからやってみようと…」

  後に“アニソン界の大王”として名をはせるささきだが、そのアニソン歌手としての原点となるのが、70年代に人気を博したあのアニメ作品との出合いだった…。 (【後編】に続く)

・ささきいさお 本名:佐々木功 1942年5月16日生まれ、東京都出身。
 
  1960年に日本コロムビアよりロカビリー歌手としてデビュー。“和製プレスリー”のキャッチフレーズで人気を集める。 同時期に、大島渚監督の映画「太陽の墓場」で主役に抜擢され、俳優として数多くの映画、テレビ、舞台作品で活躍。 声優としても72年放送の人気アニメ「科学忍者隊ガッチャマン」にコンドルのジョー役で出演。この作品を機に、翌73年放送の人気アニメ「新造人間キャシャーン」で“ささきいさお”としてアニメソング歌手としてもデビューする。 以降、『宇宙戦争ヤマト』や『銀河鉄道999』、『ゲッターロボ』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『ザ★ウルトラマン』などアニメや特撮ヒーロー作品の主題歌、テーマソングを歌い、“アニメソング界の大王”として名をはせる。 声優としては、洋画吹替でもシルヴェスター・スタローン、クリストファー・リーヴ、人気テレビシリーズ「ナイトライダー」のデヴィッド・ハッセルホフなどの当たり役を持つ。 昨年にデビュー55周年を迎えて、今年5月25日にデビュー55周年記念シングル『今の向うの今を』をリリースする。

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