テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

【連載56 】けっして姿を見せない縁の下の力持ち! 「前説」は格好の修行の場なり

編集部
  というのも、観客は彼らを観に来ているわけではなく、番組そのもの、そしてお目当てのタレントを観に来ているからだ。

  スタジオに登場したところで、彼らは一切興味を持たれない。
  むしろ観客は、初めて見る人間に戸惑い、「早く本番を始めろ!」くらいに思っているかもしれない。

  だからこそ、芸人にとっては腕試しの機会でもあるのだ。
  アウェーで成果を上げてこそ、芸人としての価値が上がる。

  本番前に、緊張している観客の気持ちをほぐし、和らげるために笑いを取れば、彼らに興味が出てくる人間だって現れる。

  また、スタジオには当然テレビ局や制作会社の関係者がいるので、ウケることは今後の仕事に繋がる可能性もある。
  テレビマンはそういうところに関しては抜け目がない。

  名もなき若手芸人が実力とセンスを試される登竜門であり、明るい未来へと続く天国への階段、それが前説である。

  この日は、まだ結成3年目というフレッシュなコンビの担当で、テンポよく拍手の仕方や、携帯電話などに関する注意事項を説明していた。

  かつて一緒に仕事をしていたADは前説で、よく笑いを取っていた。
  それもそのはずで、彼はバラエティー番組で仲良くなった芸人のネタを拝借していたのだ。
  つまりはパクリなのだが、一応断りも入れていると本人は主張していた。

  何にせよ、スタジオ全体が盛り上がるに越したことはない。
  私もスタジオに出向く時は目一杯に声を張り上げて、心から笑うようにしている。
  それも放送作家の仕事だったりするのだ。

     本日の日直:現役放送作家(業界歴13年)

・「チーム・スパイス」とは…メディアで活躍している、ディレクター、放送作家、アシスタントプロデューサー、スタイリスト、ヘアメイクなど数名で構成されている、謎の酒好きテレビ業界人集団。西麻布、三軒茶屋界隈などで、夜な夜な業界話に花を咲かせている。

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