「井上陽水コンサート2017 “Good Luck!”」がツアーファイナル
編集部
ステージは『この頃、妙だ』から始まり、『Make-up Shadow』までMCなし、ノンストップのまま5曲を披露した。 時にはささやくように、力強く。その艶のある声を無限に変化させながらハーモニーが紡ぎだされると、一読しても解読困難な歌詞にも説得力が生まれて来る。
後ろに控える豪華なミュージシャン陣による空間が歪んでいくかのようなエキゾチックなアレンジから、すべてを弾き返すような硬質なサウンドまで、変幻自在のバンドと陽水の歌声の魔法が、満員の国際フォーラムを包み込んだ。 独特のアングルから、不思議な言葉のチョイスとともに放たれるトークも陽水のコンサートの魅力の一つだが、この日は“カニを家で一人で食べる背徳感”に関する話題などで会場の笑いを誘った。 また、アルバム「氷の世界」にも収録された忌野清志郎との共作の名曲『帰れない二人』に関する貴重なエピソードも披露。
半世紀近い前の話のため、本人も記憶がおぼろげなようだが、フォーク喫茶「青い鳥」での「RCサクセション」との出会い、下宿先の風呂なしアパートでこの曲の歌詞を「2人で1~2行ずつ順番に書いていったような気がする」と話した。
そして、その当時の時代背景を語りながら同曲をアコースティック編成で披露した。 その後、最新リリースの映像ベスト盤『GOLDEN BEST VIEW 〜SUPER LIVE SELECTION〜』にも収録されている『女神』、『瞬き』、『氷の世界』、『結詞』など代表曲をはじめとした豪華なセットリストで観客を魅了。
アンコールでは、ヘヴィなロックサウンドで大胆にアレンジされた『アジアの純真』や『夢の中へ』、『傘がない』といった名曲で会場を盛り上げた。 写真=有賀幹夫