テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌
【連載49】BS放送も視聴率重視! 地上波から追いやられた番組が息を吹き返すことも
編集部
当初は、「見る人いるの?」と揶揄されたものだが、ここ数年で中高年や高齢者の視聴習慣がついたように感じる。 分単位で視聴率を競う地上波放送と違い、CM前のあおりやテロップ、過剰なナレーションもほとんどなく、ゆったりとしたテンポで“旅や“グルメ”、“歌”、“ドラマ”、“スポーツ”、“趣味”、“ニュース”といったコンテンツが並んでいる。
そのあたりが、地上波の番組に飽きていた中高年や高齢者にハマった。 そんなBS放送のエポックメイキングと言われたのが、2年前からはじまった機械による視聴率調査だ。 以前は、郵送でのアンケートで各局の視聴動向を調べる“BSパワー調査”を、ビデオリサーチ社に委託して行ってきた。
それが、地上波と同じように機械による調査を行うことになり、視聴者の年齢層や視聴率も5分単位で分かるようになったのだ。 つまり、よりきめ細かな数字が出ることで、広告効果を計る指標がハッキリするようになった。 表向きBS各局は、これまで通り地上波と差別化した、大人向けの落ちついたコンテンツを中心に放送するとしているが、やはり“数字”が絡んでくると、そうもいかない事情が出てくる。 以前なら「BSなので数字を気にせず、好きなことやってください」といった、半ば牧歌的な雰囲気もあったが、今や売れっ子タレントが看板の番組でさえ、数字が悪ければ終わってしまう。
地上波と比べるとBS全体の視聴率も低いので、いささか気の毒な部分もあるが、テレビ業界では数字がすべてなのだ。 確かに、BSの番組の中では視聴率が1%にも満たない番組も多い。 しかし、地上波から追いやられたプロ野球中継などは3%近い数字を叩き出し、放送回数こそ少ないものの、BSの中では優良コンテンツとして復活している。 同じように、予算がかかる割に数字が取れないという理由で、地上波から姿を消した時代劇も、再放送ながら、新天地(=BS)で、高齢者を中心に人気を集めている。
まさに適材適所である。