新聞、雑誌とも軒並み売り上げ好調も…。「SMAP」騒動で拍車がかかる一次情報メディアの危機
編集部
紙離れや活字離れが叫ばれる昨今だが、「『SMAP』のおかげで売れ行きは、ここ数年なかったほど好調でした。スポーツ紙も、いつもの2割増しくらい売れたそうですよ」とは週刊誌のデスク。 実際、普段はスポーツネタを一面にする機会が多いスポーツ紙だが、騒動の渦中は連日にわたって『SMAP』ネタを一面にした。
“SMAPバブル”に沸いたスポーツ紙業界だが、その一方で中居をはじめとするメンバー4人を“造反者”呼ばわりし、分裂騒動自体を“クーデター”と表現するなど、一部スポーツ紙の明らかにジャニーズ寄りの報道スタンスに対しては、インターネット上を中心に激しい批判も展開された。 「当初は、ジャニーズ事務所の顔色を伺いつつも、I女史を陰でサポートすると見られていた複数の大手芸能事務所の幹部の存在もあって、一応は中立なスタンスをとっていたみたいだけど、木村拓哉のジャニーズ残留の情報が流れたあたりから風向きが変わったよね。I女史サイドの形勢が悪いと見るや、一気にジャニーズ寄りの報道に傾いた。でも、さすがに木村を急にヒーロー扱いしたり、他の4人を“造反者”呼ばわりはまずいだろう。あれでは、どっちサイドを応援して記事を書いているのか読者にもバレバレだよ。もう少し、上手くやらないと(笑)」と、某スポーツ紙の記者OBもあきれ顔で語る。 「SMAP」騒動が沈静化した後も、ジャニーズ寄りの報道に特化した一部スポーツ紙に対するネットユーザーからの風当たりは強く、今でも大手ポータルサイトに掲載されている芸能絡みの配信記事のコメント欄には、記事を見たユーザーから「いかにも○○(=スポーツ新聞社名)らしい記事」、「所詮は芸能プロの犬」、「この記者はいくらもらっているんだ?」などといった辛辣なコメントが書き込まれている。 だが、こうしたスポーツ紙による報道の“偏り”に関しては、一次情報を扱うメディアとして仕方がない部分もあるという。
別のスポーツ紙のデスクはその内情をこう明かす。 「誰がどこで何をしたという一次情報、いわゆる“ストレートニュース”を扱うメディアとしては、他社に先駆けてスクープを抜くためにも、取材対象者やその周辺との日頃の“お付き合い”は必要不可欠。もちろん、メディアとして中立的な立場での報道を目指すのは大前提だけど、時にはその延長線上で一方に肩入れしたり、筆が鈍ったりすることもあるよ。今回の『SMAP』の件で言えば、ライバル紙に先んじて手っ取り早く新しい情報をキャッチするためには、ジャニーズサイドか、I女史サイドのどちらかに接近するしかない。そうした情報を継続的にもらうためには、多少の肩入れは仕方がない部分もあると思うけどね。それが、また別のスクープに繋がる部分もある」 メディアと大手芸能プロダクションとの付き合いは、メディア側からするとスクープや精度の高い記事を報じる過程での“必要悪”とも言える反面、結果的にはバッシングを招き、読者離れを生んでいるという点で、自らの首を絞めることにもなっているのが実情と言える。 「SMAP」騒動で近年まれに見る好景気に沸いたメディアだが、記事の偏りを通じてこうしたシステムが広く知れ渡ったことで、同時に失ったものも大きそうだ。