YOASOBI、紅白初出場に疑問の声が噴出!? 『夜に駆ける』のテーマをめぐって物議

斉木順

 デビュー曲『夜に駆ける』が今年最大のヒット曲になった男女ユニット「YOASOBI」が、大みそかに放送されるNHK『紅白歌合戦』に紅組で初出場することが23日に発表された。ファンが歓喜に沸く一方、一部では出場を疑問視する声も上がっている。音楽界の「今年の顔」ともいえる超人気ユニットなのに、なぜ反対意見が噴出しているのか……?

 「YOASOBI」は、コンポーザーのAyaseとボーカリストのikuraによる2人組。「小説を音楽にする」という独特のコンセプトで、昨年11月に公開したデビュー曲『夜に駆ける』は配信のみでCD未発売であるにもかかわらず、今年のビルボードジャパンの年間ソングチャートで1位となった。

 サブスクリプション(定額聴き放題)の総再生回数は大ヒット基準の1億回を大きく超える2億7000万回以上で、ショートムービーアプリ「TikTok」で人気に火がついたという経緯もあり、まさに現代を象徴するアーティストといえる。

 今まで「YOASOBI」はライブの経験がなく、テレビでのパフォーマンスも収録含めて今回が初。正真正銘の「初の生歌」が聴けるチャンスということで、SNS上のファンからは「楽しみすぎる!」「久々に紅白見たくなった」「やっぱり紅白さんスゴイっす」といった歓喜の声が続出している。

 だが、その一方で出場を疑問視する意見も少なからず上がっている。

 その理由の一つは、前述したように「YOASOBI」がCD未発売でライブの経験もない……ということだ。紅白の選考基準は「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3つが中心となっているが、そのうちの「今年の活躍」はCDやDVD、ブルーレイの売上が大きな要素となっている。それがすっぽり抜けているにもかかわらず、若者の支持を意識して「番組の目玉」のように扱うのはいかがなものか……という見方があるようだ。

 しかし、これは9人組ガールズグループ「NiziU」が正式デビュー前のCD未発売の状態で出場を決めていたことを考えるとさほど不思議はないだろう。
 
 それよりも物議を醸しているのが、今回の紅白歌唱曲となる『夜に駆ける』のテーマだ。同曲は星野舞夜氏のネット小説『タナトスの誘惑』を原作としており、同小説は「死への渇望」を題材としている。

 死に対する欲動「タナトス」に魅了された彼女と、彼女を止めようする男性の物語で、最終的にはふたりで「夜空に向かって駆け出す」という衝撃的な内容になっている。そんなセンセーショナルな小説を、ポップなメロディに包んで音楽で表現しているところが『夜に駆ける』の妙味なのだが、このテーマを問題視する声もあるようだ。

 ネット上では「あまり紅白の場にふさわしくない」「曲は好きだけど紅白はどうだろう?」「テーマ的にマズイのでは」といった意見が噴出。今年は芸能界で悲しい事件が連鎖したこともあり、NHKの『紅白』で目玉として披露されることを疑問に感じる人が少なくないようである。

 ただ、これについても「松任谷由実が紅白で『ひこうき雲』(友人の自死を題材にしたとされる曲)を歌ってたから大丈夫でしょ」「石川さゆりなんて『あなたを殺していいですか』(天城越え)って歌ってるよ」といった擁護意見がある。

 いずれにせよ、このような議論が発生すること自体が「YOASOBI」の注目度の高さを証明しているといえそうだ。

<ライタープロフィール>
 雑誌や書籍、ネットメディアで芸能記事を執筆中。アイドルから俳優、歌手、大御所まで幅広くカバーする柔軟さと情報網が強み。

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