多才すぎる女優・池田エライザが映画監督デビュー! 不透明な時代を生きる若者の幸福論『夏、至るころ』

長野辰次
多才すぎる女優・池田エライザが映画監督デビュー! 不透明な時代を生きる若者の幸福論『夏、至るころ』の画像1

(c)2020「夏、至るころ」製作委員会

 人気若手女優の池田エライザが初監督した映画『夏、至るころ』が12月4日(金)から劇場公開される。原案から企画に携わった池田エライザ監督は現場では演出に専念し、キャストクレジットには名前が入っていない。高校最後の夏を迎え、自分の将来について考えるようになった主人公の揺れ動く心理を、ロケ地・福岡県田川市のお祭りの様子などを盛り込み、情感たっぷりに描いている。

 女優・モデル・エッセイストなど多彩な活躍を見せる池田エライザに、監督をオファーしたのは映画製作・配給会社「映画24区」。地域の「食」と「高校生」をテーマにした自治体や市民参加型の映画制作プロジェクト「ぼくらのレシピ図鑑」を手掛けており、福岡県田川市とコラボした今回の企画の監督に福岡市出身の池田エライザに白羽の矢を立てた形だ。

 おそらく、女優・池田エライザはこれまで与えられた役をただ演じるのではなく、自分の演じる役が作品全体にどう関わるのか、常に俯瞰的な視線で見つめながら撮影現場で過ごしてきたのだろう。子どもの頃から読書好きで、小説を書いていたことも大きいに違いない。監督のオファーを受けた池田エライザは、キャリア充分な助監督が初めて撮った映画のように、繊細でありながらかっちりとした作品に本作を仕上げてみせている。

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(c)2020「夏、至るころ」製作委員会

 物語の主人公となるのは、同じ高校に通う翔(倉悠貴)と泰我(石内呂依)。夏祭りには、中学の頃から一緒に和太鼓を叩いてきた仲だ。ところが高校3年の夏を迎え、泰我は和太鼓の稽古をやめて、受験勉強に専念すると言い出した。進学やその後の就職のことを泰我はしっかりと考えていることを知り、将来のことは漠然としかイメージできていなかった翔は戸惑いを隠せない。

 そんなとき、翔はギターを持った不思議な女の子・都(さいとうなり)に出会う。都は東京でミュージシャンとしてライブ活動を重ね、CDデビューも予定されていた。だが、自分が歌いたい曲と商業ベースとの狭間で都は悩むようになり、故郷に戻ってきたところだった。高校には通わなかったという都を、翔と泰我は自分たちの高校へと連れていく。誰もいない夜の学校のプールサイドで、都は自作の曲を静かに歌う。若くして夢に挫折した都の歌声を聞いて、翔はますます自分の将来が分からなくなってしまう。

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(c)2020「夏、至るころ」製作委員会

 映画の舞台となっている田川市は、福岡市と北九州市という大きな都会に挟まれた人口4万5000人の小さな町だ。かつては炭鉱の町として栄えたが、今ではすっかりさびれてしまった。周囲はなだらかな山に囲まれ、地元で暮らす分には穏やかに過ごすことができる。でも、若者には刺激が足りない。人気アニメ『進撃の巨人』の主人公たちのように、高い壁に覆われた町を出て、広い世界を自分の目で見てみたいと翔は考えるようになる。

 かつて炭鉱で栄えた名残で、町には高い煙突が二本残っている。翔や泰我は、ちょっとした迷信を信じていた。二本並んでいる煙突が一本に重なって見える場所があり、その場所を見つけた者は幸せになれるのだと。翔の祖父・正勝(リリー・フランキー)は若い頃にずいぶん探し回ったが、どうしても見つからなかったそうだ。二本煙突が一本に見える場所を求めて、翔は汗だくで走り続けることになる。

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