「小さなバイキング ビッケ」伊藤沙莉が語るアフレコ裏話
編集部
声のお仕事は緊張もしますし、足を引っ張ってはいけないという感情もありますが、それ以上に今回は楽しくできました。バイキングの族長でもあるお父さんのハルバル(三宅健太)と、親友の女の子イルビ(和多田美咲)と一緒にアフレコができました。ちょっと私がワガママを言わせていただいて。絡みの多い方と一緒にアフレコができたら心強いなと思ってお願いしたんです。このご時世なので、仕切りがある状態ではありましたが、ひとりきりで録るのとは全然違いました。 ――違うものですか。
違いますね。気持ちの乗っかり方が全然違います。ビッケの興奮状態や、ワクワクした感じとか。やっぱり実際に掛け合いをするからこそ生まれるテンションがあるので。だからご一緒させていただけたのは大きいです。それにプロの声優さんとご一緒させていだだくと、テンションごと引っ張ってくださるんですよね。どうしても私は普段、リアリティよりのお芝居が多いので、やりすぎなくらいの大きなテンションでやるためには、人に引っ張っていただくのが一番早いんです。本当に有難かったです。 ――よく覚えているのはどんなシーンですか?
最後のほうで、お父さんとふたりで雪の中を滑っている場面があって、「ヒャッホー」「イエーイ」とずっと叫んでいるんです。あれはひとりでやってたら厳しかったですね。あとは「俺たちバイキング!」と掛け声をしているシーンも、イルビと一緒に参加させていただきました。最初は私たちも言うとは思っていなかったのですが、ふたりで一緒に言えたのでテンションも上げて出来てよかったです。 ――ビッケに決まったときから、気持ちがわかるとお話されていました。実際にアフレコしてみてどういったメッセージをより受け取りましたか?
やっぱり夢がありますよね。どうしても人って、決めつけられると反発するじゃないですか。私も、末っ子なので「沙莉にはまだできない」と、普段からよく言われているんです。いまだに。ビッケと同じように、何かで認めてほしいという承認欲求はやっぱりありますし、共感します。でもビッケはそれだけでは終わらなくて、体が小さくて力もないから、できないことも多いのですが、知恵があって、ビッケにしかできないことがある。ビッケは反発するのではなくて、「これが自分にはできないなら、ここでカバーすればいい」と考えられるんです。こんなにちっちゃいのに。それってすごくかっこいいですし、勇敢で、そういう姿を見られるのは、夢があるなと思います。 ――ご家族からはいまだに末っ子扱いされるとのことですが、ここ最近の伊藤さんの活躍は本当にすごくて、一般的には評価も人気もうなぎのぼりです。末っ子として、「まだできない」と言われていた状態から、今現在の世間からの高い評価というのは、プレッシャーにはなりませんか?
なりますよ。期待していただけるのであれば、それは裏切れないですし。期待以上のことができなければ、落ちていくと思います。そう考えるとすごく怖いです。私はあまのじゃくなので、「誉めてほしい!」と思いながら、誉められたら誉められたで、慣れていないので、どう対応していいのかわからなくなる。これから先、どうやっていこう。もっと上に行かないと!みたいなプレッシャーは確かにありますね。