コロナ禍がモチーフの「世にも奇妙な」オムニバス! 園子温、ムロツヨシらが参戦した『緊急事態宣言』

長野辰次

コロナ禍がモチーフの「世にも奇妙な」オムニバス!  園子温、ムロツヨシらが参戦した『緊急事態宣言』の画像5『緊急事態宣言』(C)2020 Transformer, Inc.

 今や売れっ子俳優のムロツヨシが、メディアアーティストの真鍋大度、劇団ヨーロッパ企画を主宰する上田誠と組んだ「非同期テック部」として監督したのは『DEEPMURO』。これも、今までの映画やテレビドラマにはなかったタイプの新感覚のエンタメ作品となっている。ムロと柴咲コウが恋愛ドラマを演じている撮影現場で、思いがけない事件が起きるというストーリーだ。すでに舞台演出や『親バカ青春白書』(日本テレビ系)の第6話でも監督を経験しているムロの多才ぶり、人脈の幅広さが楽しめる。

 中野量太監督の『デリバリー2020』は、宮沢りえ主演映画『湯を沸かすほどの熱い愛』(2016)が高い評価を得た中野監督が得意とする、辛口のホームドラマ。『宮本から君へ』(2019年)が話題を呼んだ真利子哲也監督の『MAYDAY』は日本だけでなく海外の動向にも目を向け、自粛期間中も世界は大きく動いていたことを伝えている。また、先述した3作品がシュールな内容だったのに比べ、この2本は現実に即したリアルな内容となっていることも興味深い。

コロナ禍がモチーフの「世にも奇妙な」オムニバス!  園子温、ムロツヨシらが参戦した『緊急事態宣言』の画像6『緊急事態宣言』(C)2020 Transformer, Inc.

 オムニバスドラマというと、人気キャストや売り出し中の監督の名前がクレジットされていても、テーマ的にぼんやりとして、物足りなさを感じさせることが多かったが、今回の『緊急事態宣言』はエンタメ業界が危機にあることを痛感した監督やキャストたちが集まったこともあり、5作品のどれもが社会性を強く感じさせる。不要不急な行動は控えることを求められ、エンタメ業界の人間にとって厳しい時期にあるが、逆境にあっても面白い作品をつくってやろうという気概が満ちている。コロナによって変わることを余儀なくされたエンタメ業界において、新しい可能性を感じさせる新しいオムニバスものが誕生した。
(文=長野辰次)

コロナ禍がモチーフの「世にも奇妙な」オムニバス!  園子温、ムロツヨシらが参戦した『緊急事態宣言』の画像7『緊急事態宣言』(C)2020 Transformer, Inc.

『緊急事態宣言』
8月28日よりAmazon Prime Videoにて独占配信中。
(c)2020 Transformer,inc
http://www.transformer.co.jp/m/kinkyujitai/

『デリバリー2020』 
監督/中野量太 出演/渡辺真起子、岸井ゆきの、青木柚

『孤独な19時』
監督/園子温 出演/斎藤工、田口主将、中條サエ子、関幸治、輝有子、鈴木ふみ奈

『DEEPMURO』 
監督/非同期テック部(ムロツヨシ+真鍋大度+上田誠) 出演/ムロツヨシ、柴咲コウ、きたろう

『ボトルメール』
監督/三木聡 出演/夏帆、ふせえり、松浦祐也、長野克弘、麻生久美子

『MAYDAY』 
監督/真利子哲也 出演/各国の人々(日本パート:岩瀬亮、内田慈) 

コロナ禍がモチーフの「世にも奇妙な」オムニバス! 園子温、ムロツヨシらが参戦した『緊急事態宣言』のページです。エンタMEGAは、エンタメ映画の最新ニュースをいち早くお届けします。芸能ニュースの真相に迫るならエンタMEGAへ!