子役出身のイケメン男優のトラウマ体験を映画化! 毒親との関係性を見つめ直す試み『ハニーボーイ』

長野辰次

子役出身のイケメン男優のトラウマ体験を映画化! 毒親との関係性を見つめ直す試み『ハニーボーイ』の画像4© 2019 HONEY BOY, LLC. All Rights Reserved.

 12歳のオーティスを演じたのが、『ワンダー 君は太陽』(2017年)で先天的な障害を持つ少年を好演し、その演技力が高く評価されたノア・ジュプ。そして、ダメ父を演じたのがシャイア・ラブーフ。自分を苦しめた毒親役を自分で演じるという、荒業に挑んでみせている。これは精神療法の一種、「ロールプレイ」と呼ばれるものだ。自分以外の他者を演じることで、その他者の内面を理解することにつながる。自分の記憶にある父親を、シャイアはとことん人間臭く演じてみせる。アルコール依存に苦しむスティーブを熱演するシャイアには、かつての若手イケメン男優の面影はまるで感じられない。ダメ親へのなりきりぶりが凄い。

 幼い頃の自分と父親との思い出を物語としてまとめ、また父親役を演じることで、シャイアの中の父親像に大きな変化が生じたようだ。感情の起伏の激しかった父親だが、それは断酒していたための禁断症状だった。ひとり息子を守るために、父親は懸命にアルコール依存から立ち直ろうと努めていたことが分かる。また、息子の稼ぎで生活していることの負い目から、暴言の数々を吐いていたらしい。ダメ親なりに、我が子を懸命に愛そうとしていたのだ。

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 かなり苦めの思春期ドラマである本作だが、親子や家族の関係性は大人になるとずいぶんと変化するケースが多い。過去を客観的に振り返ることができる年齢になり、親や兄妹との関係を修復できた人もいれば、中にはますますこじらせてしまった人もいるのではないだろうか。自身のトラウマの元凶と徹底的に向き合ってみせたシャイア・ラブーフが、リハビリを経て、これからどんな性格俳優になるのかにも注目したい。

(文=長野辰次)

『ハニーボーイ』
脚本/シャイア・ラブーフ 監督/アルマ・ハレル
出演/シャイア・ラブーフ、ルーカス・ヘッジズ、ノア・ジュプ、ブライオン・パウワーズ、ローラ・サン・ジャコモ、FKAツイッグス
配給/ギャガ 8月7日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
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https://gaga.ne.jp/honeyboy/

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