時代錯誤に大手芸能事務所依存…、フジテレビの月9ドラマが苦戦続きのワケ

編集部
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  10月17日にスタートしたフジテレビ系“月9”ドラマ「カインとアベル」の初回平均視聴率は8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)となり、月9ドラマの初回視聴率としては過去最低を記録した。

  作品は、ジャニーズ事務所の人気グループ「Hey! Say! JUMP」の山田涼介が主演を務め、山田と桐谷健太演じる兄弟の確執や父子の愛情など人生の葛藤を描いているが、結果的には今のところ視聴者からはソッポを向かれているのが実情だ。

「このところの月9は視聴率の打開策として、若い女性をターゲットにした恋愛ものが中心だった。ジャニーズの人気アイドルの山田のファン層の大半は、中高生の女子。だが、ドラマの原案となっている兄弟が登場する旧約聖書『創世記』の世界観をそんな年代の女の子たちが身近に感じるよしもない。ストレートに山田が主人公の恋愛モノの方が、よほど視聴率は取れたと思うのですが…」(テレビ誌編集者)

  そうした中、フジテレビの亀山千広社長は同月28日に行われた定例会見で、「正直に僕も含めて、スタッフも、もっと(視聴率は)ほしかったと思います」としつつも、「(作品は)普遍的テーマ。表現の仕方が、ドロドロな話になるところを出演者のキャラクターの作り方が見やすくしてくれている。ストーリー性があるドラマは、初回よりも回を重ねるごとにファンを増やすことができる。一喜一憂しないでほしいと思うし、僕も一喜一憂するつもりはありません」と今後の伸びしろに期待した。

  そのうえで、将来的な月9ドラマの撤退に関しては、「みじんも考えておりません」とキッパリと否定した。

  月9ドラマが、お茶の間に定着したのは1980年代半ばと言われている。 かつては「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」などが社会現象となり、「あすなろ白書」や「ロングバケーション」、「ひとつ屋根の下」、「やまとなでしこ」、「HERO」などが人気を集めた。

  そんな月9ドラマも2000年代に入ると、苦戦の色が見えはじめ、2001年の「SMAP」の木村拓哉主演の「HERO」以降は「プロポーズ大作戦」や「ガリレオ」などの話題作はあるものの、かつてほどの存在感は放てていない。