大林監督の遺作は尾道を舞台にしたタイムリープもの! 現実と虚構の世界を自在に行き交う『海辺の映画館』

長野辰次
大林監督の遺作は尾道を舞台にしたタイムリープもの! 現実と虚構の世界を自在に行き交う『海辺の映画館』の画像1

(c)2020「海辺の映画館 キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

 小さな港町・尾道を舞台にした原田知世主演作『時をかける少女』(1983年)はSF青春映画の金字塔となり、その後もさまざまなアイドルたちによってリメイク&アニメ化され続けている。同じく尾道を舞台にした『転校生』(1982年)は、邦画の興行記録を塗り替えたSFアニメ『君の名は。』(2016年)の元ネタとなった。今年4月に亡くなった大林宣彦監督が、映画界に与えた影響はとても大きい。その大林監督が82歳の生涯の最後に撮り上げたのが『海辺の映画館 キネマの玉手箱』だ。

 大林監督は前作『花筐/HANAGATAMI』(2017年)の撮影直前に末期がんと診断され、「余命3か月」と宣告されながらも、『花筐』を完成。さらに20年ぶりに故郷・尾道でロケ撮影を敢行し、『海辺の映画館』を撮り上げた。言うなれば、『海辺の映画館』は大林監督が遺したポップな遺言状、生前に監督自身がつくったカラフルな走馬灯のような作品となっている。

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(c)2020「海辺の映画館 キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

 晩年の大林作品のミューズとなった常盤貴子、『花筐』に続いての出演となる山崎紘菜、大林組初参加となった成海璃子、新人女優・吉田玲がヒロインとして登場。さらに『青春デンデケデケデケ』(1992年)に出演した浅野忠信をはじめ、大林作品がきっかけで注目を集めるようになった実力派俳優たちが顔をそろえている。

 物語の主人公となるのは、3人の若者たち、馬場毬男(厚木拓郎)、鳥鳳介(細山田隆人)、団茂(細田善彦)。尾道の海辺にある小さな映画館が閉館することになり、営業最終日に戦争映画を特集したオールナイト上映が行なわれる。オールナイト上映を観にきた毬男たちは、フィクションとリアルとを隔てる壁を突き抜けて、映画の世界へと迷い込むことに。

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(c)2020「海辺の映画館 キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

 それまで安全な客席から楽しんで観ていた戦争映画だが、映画の世界の住人となった3人の前に戦争が現実のものとして迫ってくる。戦火に巻き込まれる恐怖、大切な人を失うという心の痛みをリアルに感じる3人だった。

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