グランドに立てずにいる、気弱な人たちへの応援歌! 脇役が輝く青春映画『アルプススタンドのはしの方』の画像1

(C)2020「アルプススタンドのはしの方」製作委員会

 映画好きな人にぜひ名前を覚えてもらいたいのが、城定秀夫監督だ。「じょうじょう ひでお」と読む。誰もが知っているような大ヒット作はまだ放っていないものの、単舘系映画、ピンク映画、オリジナルビデオ作品などはすでに100本以上を監督している。しかも、どの作品にも観る者の心をホロっとさせる名シーンが用意されてある。レンタルビデオ店で『デコトラ☆ギャル 奈美』(2008年)や『18倫』(2009年)などのB級作品を見かけたことはないだろうか。さほど期待せずに観てみると、思いのほか面白く、得した気分になる。それが城定監督の作風だ。

 大人向けのR指定作品を撮ることの多かった城定監督だが、新作『アルプススタンドのはしの方』はR指定なし、直球勝負のピュアな青春映画となっている。“高校演劇界の甲子園”と呼ばれる「全国高等学校演劇大会」で2017年の最優秀賞に輝いた兵庫県立東播磨高校演劇部の戯曲が原作。2019年に浅草九劇でも舞台化されて好評を博し、さらにアレンジしての映画化だ。

 甲子園出場を目指す球児たちが汗と涙を流す地方球場を舞台にしながらも、グランドの様子はいっさい映さずに、スタンドのはしっこで球児たちのようには熱くなれずに、ぼんやりと観戦している高校生男女を主人公にしている。

 公立高校の演劇部に所属する女子高生の安田(小野莉奈)と田宮(西本まりん)は、地方予選の1回戦に出場する野球部の応援にやってきた。全校生徒の応援が義務づけられていたため、渋々の参加だった。スタンドの目立たない後方席に佇んでいた2人だが、近くには元野球部の藤野(平井亜門)がいた。藤野は同学年の野球部のエースに対してコンプレックスを抱き、野球部を辞めていた。安田と田宮も演劇コンクールの全国大会出場を決めながらも、部員がインフルエンザに感染し、出場を諦めたことが心のわだかまりとして残っていた。

 自分ひとりがいくら頑張っても、どうしようもないことがある。そう考えている3人は、応援にも力が入らない。

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