「AneCan」休刊で業界に激震! ファッション誌が衰退したワケとは?
編集部
その後、アラサー女性の心をつかみ、広く認知されるまでに成長したが、発行元の小学館は「昨今の読者ニーズや広告環境の急激な変化を真摯にとらえ、月刊誌としての休刊を決定しました」とコメント。
ウェブサイト「AneCanTV」は引き続き運営していくという。 元ファッション誌の編集者は、同誌の休刊についてこう語る。 「『AneCan』の創刊当初はまさにファッション誌にとっての“バブル期”。関わっているスタッフは誰しも好景気が続くと思っていたが、徐々に部数が減少していった。それでも、インターネットの普及や紙離れ、活字離れなど業界を取り巻く環境の変化を把握できず、“バブル”気分で浮かれたままだった。今後、ほかのファッション誌も休刊していきそうですね」 元々、「CanCam」は82年1月に創刊。 後に女優として活躍する藤原紀香、米倉涼子、伊東美咲、長谷川京子らもモデルを務めていたが、長らくファッション誌業界での覇権はライバル誌「JJ」(光文社)に奪われていた。 ところが、00年代に入り、エビちゃんこと蛯原友里が専属モデルを務めはじめると、「CanCam」が快進撃をスタート。 女子大生やOLを中心に絶大な人気を集め、蛯原が身に着けたり、アピールした商品は必ずヒットする“エビ売れ”なる現象まで巻き起こった。 「蛯原効果で、押切や山田優ら他のモデルの人気もアップ。全盛期の06年には発行部数が80万部に達し、同年発売した『お姉さん系CanCam』と『AneCan』は2冊とも完売。それを受け、『AneCan』がレギュラーで発行されるようになった」(ファッション誌ライター) とはいえ、発行部数が増えても、決して順風満帆ではなかったという。 「ファッション誌は他の雑誌に比べて、発売部数もさることながら広告収入に頼るところが大きい。多少部数が増えたからといって、肝心の広告出稿がインターネットの影響で減ってしまっては元も子もない。さらに、カラーページが多く、撮り下ろしの多いファッション誌はただでさえ必要経費がかかるのに、スタッフは“バブル気分”が抜けずに、経費を使いまくっていた。編集スタッフも、年収1000万円を超える社員スタッフをはじめ、高給取りが多いですしね。費用対効果の悪さが、会社の役員会から目をつけられるようになってしまったようです」(前出の元ファッション誌編集者)