テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

【連載20】格差が広がるテレビ業界! 現役放送作家が格安ギャラ事情を暴露!!

編集部
「すぐに番組が増えるから行動をともにしてくれ!」

  Sにそう強く懇願されたという。

  元々、放送作家になったキッカケがSのおかげという恩義もあり、Aは来る日も来る日も、酒をあおってグチを言い続けるSに付き合った。

  だが、Aには家族がいた。
  子供は、まだまだ幼くミルク代を稼がなければならない。
  体の弱いカミさんもパートに行くのがやっとだったそうだ。

  30歳も半ばを過ぎれば、将来について悩んでいる場合ではない。
  Aの出した結論は、至極まっとうなものだろう。

  今宵の酒宴中、ギャラの話になったのだが、いつの間にかお互いに「いかに安く仕事を請け負ったか」を自慢し合っていた。

  番組の仕事の依頼を受ける時、「予算がないんだけど…」と開口一番プロデューサーから宣告されるのが、昨今のテレビ業界だ。

  会議に来て好きなことをしゃべって、1回10万円をもらえる人がいる一方で、ネタ出し、リサーチ、取材、台本を書いて、番組1本につき1万円なんてことだってある。

  放送作家界も、かなりの“格差社会”なのだ。

  昼間の蒸し暑さからいくぶん解放され、夜風が心地よい都会の喧騒の中、Aの後ろ姿を見ながら、「それでも好きな仕事だからやるしかない」とひとりごちた。

     本日の日直:現役放送作家(業界歴13年)

・「チーム・スパイス」とは… メディアで活躍している、ディレクター、放送作家、アシスタントプロデューサー、スタイリスト、ヘアメイクなど数名で構成されている、謎の酒好きテレビ業界人集団。西麻布、三軒茶屋界隈などで、夜な夜な業界話に花を咲かせている。

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