その結果、浅村は楽天移籍を決意。会見の場では楽天・石井一久GMの「『来てくれるだけで楽天のためになる』と。そういう言葉が自分の胸に刺さり、楽天のためにやりたいという気持ちになりました」と語っていた浅村だが、一方では「とにかく環境を変えたかった」という声も。それだけなら楽天でなくともよかったというわけだ。
実際に浅村がFA宣言をした際、楽天の他にもソフトバンクやオリックスが手を挙げていた。
しかし、最初に交渉したソフトバンクはともかく、次に交渉した楽天の後で交渉予定だったオリックスは「今回は、他の球団の方から選ばせていただきたいという断りがありました」と交渉の席にすら着くことができなかった。
オリックスが浅村から不当な評価を受けていたというよりは、ソフトバンク、もしくは楽天のわずか1度の交渉で「決定的な何か」があったと考える方が自然だろう。交渉にあたる予定だったオリックスの長村裕之球団本部長の「会って話をしたかったというのが本音」と肩を落とす姿は悲痛だったという。
その何かが「淡輪ゆき」だったのかは定かではない。だが、まったく影響がなかったと考えるのも、いささか難しいか。いずれにせよ、浅村の件以外にも石井GMを筆頭に“剛腕ぶり”がうかがえる楽天フロント陣の“政治力”には目を見張るばかりだ。
