1985年に男女雇用機会均等法、1999年に男女共同参画社会基本法が制定される等、他の先進国と同じように、仕事における男女平等は日本でも進みつつある。そんな現状の中で、とある職業における男女平等に関して賛否両論を巻き起こす出来事が起こり、注目を集めている。
先月の25日、ハフポスト日本版に『「生理が味覚に影響」「化粧がつく」……。差別や偏見を乗り越え、ある女性が寿司職人を続ける理由』という記事が掲載。それは秋葉原にある女性だけで経営する寿司店が、女性への偏見や逆風の多い寿司職人という職業をいかにして続けてきたかという内容となっていた。しかし、今月の1日にその紹介動画がハフポストによってTwitterに投稿されると、その店長の女性が割烹着ではなく着物を着ながら接客をしており、その袖がまな板に触れていたことから、衛生観念が危ういのではないかという返信がなされた。
これに対し、その寿司店のアカウントが「あら探しの為にご視聴ありがとうございます」と挑発的な返信を行ったことから、同じく着物がまな板に触れている画像や、絆創膏をしたまま寿司を握っている画像などを持ち出して、批判をする声が続出。炎上状態となっている。これに対して、店の公式アカウントは「傷つくコメントや店に罵倒玄和が度々来ている現状です」と明かしつつも、「実際足を運び、私の寿司を召し上がり、お話をして初めて評価は完成すると思っております」とコメント。今後、この件についての返信や発信を控えると表明した。
この件について、ネット上では「衛生管理がきちんとしているなら男性でも女性でもいいですよ」「争点は性別の問題ではない」と、あくまで衛生面の問題から批判を浴びているのではないかという声や、「めっちゃ女をアピールしてるところが不快」「いざとなったら女を武器にするタイプ」と、逆にこの店が女性だけの店という特色を利用して商売しているのでは? とう疑念を抱く声も挙がっている。
「確かに出回っている写真だけ見ると、衛生的な問題を感じてしまうような部分はあるのかもしれませんね。ただ、個人的な感覚で言えば、これはやっぱり、女性が艶やかな着物を着ながら接客をしながらも『寿司職人という男性社会の中を耐え抜いてきた』という主張を行った事への違和感を多くの人が抱いたのがその原因ではないでしょうか。
例えば、革ジャンを素肌に着こんで、髪を逆立てたりしたパンクファッションの男性が『差別と闘いながら寿司を握ってきました』と主張したらイロモノ扱いされるでしょうし、同じような批判を浴びるのではないかと思います。とはいえ、別にその店に問題を感じたら自分が行かなければいいだけのことですし、わざわざSNSなどで批判を行わなくてもいいんじゃないか、とも思ってしまいますが……」(グルメ誌ライター)
はたして、この騒動は特定の職業における男女差別が表出したものなのか、それとも男女関係なしに批判が行われるようなものであったのか。非常にセンシティブな問題だと言えるが、少なくとも多くの人々が、この店に対して何かしらの違和感を持ってしまったことだけは確かなようだ。