夕方のニュース番組『スーパーJチャンネル』(テレビ朝日系)で、やらせ問題が発覚した。テレビ朝日が17日に発表したもので、3月15日放送の「業務用スーパーの意外な利用法」において、不適切な演出が行われたという。番組では業務用スーパーへ買い物へ来た一般客5人へインタビューを行っているが、すべて担当ディレクターが用意し、初対面を装って登場していた。さらに用意された人物は全員が一般人ではなく、担当ディレクターが講師を務める俳優養成学校の生徒が少なくとも3人含まれていた。担当ディレクターは思うような取材ができず行き詰まっていたと釈明している。
今回のやらせ問題は、夕方のニュース番組をめぐる過酷な制作体制も浮き彫りにしたといえそうだ。
「夕方のニュース番組の視聴者は主に主婦層です。そのため、政治経済などのハードニュースのほかにも、ラーメンやスイーツなどのグルメ情報、ひきこもり問題、変わり種の人物、動物ネタ、今回のようなお店の舞台裏といった、バラエティ豊かな内容を用意しなければいけません。報道番組というよりは、ワイドショー的な位置づけですね。この時間帯は、各局が同じような番組を放送しているため、簡単にチャンネルを変えられてしまわないよう、さまざまな工夫が求められます」(業界関係者)
担当ディレクターは、テレビ朝日の子会社であるテレビ朝日映像に派遣会社から派遣された人物だった。
「『スーパーJチャンネル』はじめ、夕方のニュース番組は複数の制作会社、スタッフが参加しています。コーナーごとに担当が異なり、視聴率が悪いとあっさりと切られてしまう。各局ごとの視聴率争いとともに、同じテレビ局の同じ番組内でも競争があるといえるでしょう。そのため、過剰演出を生み出しやすい土壌があるといえますね」(前出・同)
担当ディレクターの行為は批判されるべきだが、テレビ番組の過酷な制作事情の犠牲者ともいえそうだ。(文=相川ナロウ)