【岸博幸×じぶん銀行社長・臼井朋貴】特別対談。資産運用や老後2千万円問題を金融のプロが語る。

編集部
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──そういった意味では投資にはよりタイムリーな情報が必要不可欠ですよね。

 岸実はこの部分は政府の責任がすごく重いなと思っています。「老後2,000万円問題」で明確になった ように、元々老後年金だけで大丈夫なんてことはないんです。老後、年金だけで足りないのは今から分かっていますし、本来は政府はもっと国民が困らないような環境整備をしないといけない。その典型例は、「人生100年時代」と言われるようになりましたが、充分な貯蓄がないと無理で、そうなると当然75歳ぐらいまで働くのは将来当たり前になりますので、そういう高齢者が働ける環境をしっかり作ってるのか?と。まだ充分じゃないですよね。
 あとは、「老後2,000万円問題」で国民に資産運用を促す割には、経済とか金融の教育を政府がしっかりやっていない。アメリカなんかでは、子供の頃から金融の教育をするのは当たり前なのですが、その一方で日本では“お金は汚らわしい”みたいなイ メージが昔からあるので、経済金融に関するまともな教育を一切してないよね。それで「投資しろ」って言うのは無責任だと思うんですけど、残念ながらやってくれない以上は、民間の側が補完せざるを得ないんです。 そう考えると、民間側ももっと頑張ってほしいです。
 じぶん銀行も「PMI」を分かりやすく提供する以外に、ち ゃんとFX・投資・外貨に対してハードルを高く感じている人用に、漫画でFXのイロハを教えるコンテンツも用意されています。そういうのは非常に金融教育という観点から、役立っているなっていうのは真面目に思いますね。

──ありがとうございます。最後に、変革期を迎える金融業界において、今後、「じぶん銀行」が挑戦し ていきたいことをお伺いできますでしょうか。

 臼井僕は金融の枠にはあまり捉われたくないと思っています。さっきのお話にありましたが、銀行・証券・保険とかっていう行政が縦割りにしていることってほとんど意味を為さないと思っています。なので、業界の枠を超えたイノベーションを起こしたいという気持ちがあります。商品の差別化をなかなかつけづらい、それってやっぱりレギュレーションがきついので、そこで差別化って実質難しい面が否めないんです。
 ただし、そうじゃない 面でやれることってまだまだあると思っています。例えば我々の親会社がKDDIなので、そこでやっぱり「5G」 だとか「IoT」であるとか、そういう従来にない発想で何か連携して、新たな金融サービスみたいなものをつくりたいなって思っています。
 それとやっぱり銀行は変わってきます、もしかしたらもう要らなくなるかもしれないです。メガバンク(昔は都市銀行)があんなに減るなんて誰が思っていたでしょうか。現在インターネット銀行が割と主流になってきましたけど、それが永遠なのかってなると、またそれはそれで違うと思います。通信業界も色々な大手が参入されてきていますし、業界はどんどん様変わりしていくんですよね。 端的に言うと「インターネット銀行のリーディングカンパニーになりたい」。というとすごく美しく簡単な言葉ですが、決してそんなことじゃないと思っています。ずっと柔軟な自由な発想で未来を見据えて、新たな技術を取り入れてやりたいという想いがあります。
 もっと簡単に言うと、KDDIが掲げている「ワクワクを提案し続ける会社になりたい」とか「面白い方の未来へ」っていう僕らのスローガン。あまり堅苦しく定義するんじゃなくて、資産運用はハードルが高いというのは事実なんですが、それってやっぱり提供する側が割と型にはめてしまっている面がある。そうじゃなくユーザーファーストっていうお客様に決めてもらえばいいじゃない、それに合わせて、僕らサービス提供者側が自由に用いればいいのかなってそんな感じにやらせてもらっているので、自由な発想でイノベーションを起こし続ける会社であり続けたい、これが最後に締めたい言葉です。

──ありがとうございます。今回の対談を通じて、岸さんが今後の「じぶん銀行」に期待することをお伺いできますでしょうか。

 岸僕が真面目に評価しているのが、じぶん銀行は恐らく日本で唯一金融のワンストップサービスを、しかもスマホでできる形で提供してくれている会社だなと思っています。「FinTech」に乗った色々なベンチャー企業が世に出る割には、結局銀行とか金融投資とかキャッシュレスとか別々のものを使っているわけですか ら、これもワンストップでやれているっていうのがたぶん一番利便性が高い。
 経済の専門家として言えば、日 本経済の将来はあまり明るくないんですよ。これは政府の経済運営がめちゃくちゃですから。その中では自分の身を自分で守るっていうことをしっかりやらないといけない。「金融投資」は長くやればやるほど、安全性がより高まるので、短期間で儲けようとしないで、長期運用でいっぱい勝とうとしないっていうのが一番大事なこと。若い人は時間があるわけですから、早い段階から金融投資はしっかりやっていただきたいです。
 そう考えると、このじぶん銀行はスマホですべて完結・ワンストップで投資信託も普通の株も外貨も外貨預金 もFXも住宅ローンも全部できるっていうのは、金融投資の観点からもたぶん若い人にとってはすごいプラスになるはずです。若い人ほどもっとじぶん銀行をうまく活用して、「金融投資」をやるようにしてほしい。
 その延長で言えば、やっぱり金融ってハードル高いイメージを持っている人が多いんですけど、自分が金融に関わっている点から考察すると実はそんなにハードルは高くないんですよ。「金融投資」を失敗して損する人は博打をやっちゃうから必ず失敗するわけで、博打にならない安全な形でやる方法は当然いっぱいあります。それは、経済や金融の知識がある程度入るだけでできるんですよね。
 残念ながらそういう最低限の知識を教えてくれる場がないのが現実ですから、ユーザーの人はじぶん銀行をもっと使ってほしいと同時に、じぶん銀行ももっとユーザーの方に金融の世界の知識を分かりやすく伝えることを通じて、「金融投資」に関する心理的なハードルを是非下げて頂きたい。そうなってこそ初めて若い人の将来をつくれるはず。
 じぶん銀行は金融専門の会社じゃなくて、親会社で金融のメガバンクと通信会社両方が入っているから、そういう新しいアプローチができるはずなので、是非頑張って頂きたいと思います。

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