吉本興業が芸人養成所・NSCの生徒に「合宿中の負傷、これに基づいた後遺症、あるいは死亡した場合、その原因を問わず吉本興業に対する責任の一切は免除されるものとする」との免責事項が組み込まれた誓約書への署名を求めていたことがわかった。
吉本興業が提出を求めたのは、9月9~11日に静岡県掛川市で予定されている「NSCお笑い夏合宿」の参加者。参加は任意で、費用は4万5,000円。誓約書には、くだんの免責事項と共に、「遵守しない者は、強制送還や退学処分となる場合もある」と書かれていた。
吉本興業の広報担当は、「その誓約書は13年まで使われていたもの」「担当者が変わって引き継ぎの際に、間違えて以前のものが引き継がれてしまった」と説明。生徒の保護者から指摘を受けて気付いたといい、現在回収と差し替えを進めているとしている。
「朝日新聞をはじめ複数のメディアがこれを報じており、人権を無視した内容が世間に衝撃を与えている。NSCは、ただでさえ5年前に比べ入所希望者が約半数に激減しているのに、今後はさらなる激減が予想される。NSCには10代も多く、生徒の親御さんは心配でしょうね」(記者)
しかし「NSCお笑い夏合宿」とは、後遺症が残ったり死亡する可能性があるほど、危険なことをしているのだろうか? 数年前に合宿に参加したある関係者は、当時をこう振り返る。
「メインはネタ見せ。そこで優勝するとその後の待遇がよくなるので、ほとんどの生徒が合宿に参加します。ほかには、プールでボールをキャッチした生徒が大喜利に答えたり、ゲームで負けた生徒がしょぼい食事を与えられたり、朝は早朝バズーカで起こされたりと、バラエティ番組のような体験をさせてもらえます。ただ、一発ギャグの権利を得るために坂道を何度も走らされたり、講義が朝まで続き睡眠時間がほとんど与えられなかったりと、とにかく体がきつかった。ケガをしたり、睡眠不足から体を壊す可能性は十分あると思います」(合宿参加者)
闇営業報道以降、別の問題が止め処なく湧き上がる吉本興業。NSCに人が集まらなければ所属芸人も減ってしまうだけに、同社の今後に響きそうだ。