豪華メンバー集結に限定オープニング『きのう何食べた?』シロさんはマイノリティの中のマイノリティ

編集部
■マイノリティの中のマイノリティ

 シロさんのらしからぬ興奮ぶりにジルベールは「女も好きなの?」(バイなのか?)と質問をぶつけるが、その疑惑をたまに感じているケンジはさらに複雑な顔になる。

「ゲイでも女の子のアイドルグループのファンとかよくあるじゃないですか? あれですよ、あれ!」

 と、説明するもいつもより高めのテンションで早口でまくしたてるから本当なのに実に嘘くさく見えてしまう。不憫だがイケメンなので倍面白い。

 しかも三谷まみという女優はゲイ受けするタイプの女子ではなく「ベタにノンケの男の子達が好きになるタイプ」という部分がケンジ的にモヤモヤするらしい。

 あげくジルベールに「見た目も話し方も中身も全然ゲイっぽくない。王道から全部外れてる」とズバリ言われてしまうシロさん。

 たしかに内野や山本や磯村がいつもとなまるで違う演技をせざるを得ないのに、シロさんだけは「ゲイっぽくない」キャラのため毎回ほぼいつもの(ノンケの)西島秀俊なのだ。

 公安で捜査に当たるような精悍さはないかもしれないが少なくともパナソニックの疑似家族っぽいコマーシャルの演技とは大して変わらなく見えるくらい自然。

 それでいて、内面も普通に男が好きなアイドルを好むわけだから「ゲイらしくない」と言われてしまうのも納得。

 普通に考えたらマイノリティの中でのマイノリティなのだから寂しくて仕方がないはずだが、シロさんは言うほど気にしてるようには見えない。

 この辺の儚げなたくましさに、シロさんの魅力の根幹があるような気がする。

 それとは少し違うが、ジルベールはゲイっぽくないシロさんを羨ましいと言う。

「ゲイってさ、何がめんどいってゲイじゃないフリをするのにいろんな嘘をつかないことなんだよね」

「学生の時なんか友達と好きな女の子のタイプとか(中略)どういうファッションが好きとかそういう話になるじゃん? 大抵のゲイはさ、そういうのに全部嘘つかないとゲイだってこと隠して生きていけないから、すっごく苦しんだよね」

 なるほど、と素直に思ってしまった。常に嘘をつき続けることの辛さ。

 だがシロさんはゲイであること以外は本音で生活ができる。それがジルベールやケンジ(若い時)など、好きなアイドルについての何気ない会話まで嘘で塗り固めて語っていた人間からしたら羨ましくて仕方ないのだろう。

 ケンジは、同じ「辛さ」を口にしたジルベールに対し深く共感していたように見える。

 2人での帰り道、「ジルベール航は食えないやつだったろ?」と聞くシロさんに対し、「嫌いじゃない」と彼を認めるような発言をしたのが印象的だ。

 後日、シロさんは三谷まみのチケットを小日向にもらいケンジからひんしゅくを買うというオチも。

 しかし「ジルベール航」という呼び方は秀逸だ。

「カールスモーキー石井」とか「ゲームセンターあらし」とか、自分に関わりのない誰かを呼ぶときの投げっぱなし感が出ていていい。

 声に出して呼びたい響き、ジルベールワタル。

 今後もし『ひよっこ3』のドラマがあったとしたら、磯村が登場するたびにトレンドに「ジルベール」の文字が現れそう。

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