『きのう何食べた?』西島秀俊は志村けんばりのスイカの食べ方披露、田中美佐子の絶叫演技に爆笑!

柿田太郎

■シロさんがバイをやめた理由

 後半はシロさんの元カノの話へ。今回ケンジが浮気を疑ったのも、スマホ通知の他に昔のシロさんの元カノ・仁美(大島葉子)が働くパン屋の食パンが食卓にあったから。

 シロさんいわく「食パンはうまいものを食うと戻れなくなる」からそこで買ってるとのことだが、たしか食パン専門店・一本堂の食パンとかを食べてしまうと、一斤68円の底値食パンに戻るのがつらい時がある。1カ月2人で2万5,000円の食費を守ることが生きがいの倹約家なシロさんが「戻れない」くらいだからその食パンもよほどうまいのだろう。

 だが、それはそれとして毎度元カノの店で買われるのは、やはり嫉妬すると打ち明けるケンジにシロさんは言う。

「心配するな、俺はもうバイじゃないよ」

 なんかかっこいい!

 若い頃は、なんとか女性と付き合おうと努力していた時期もあったとのことだが、無理してる自分に気づき、もし女性と結婚したとしても、いずれ同性と浮気して双方を傷つけてしまったはずだから、別れを選んだとのこと。

 この理由にシロさんの誠実さを感じたし、その話を目を逸らさずに聞くケンジの真剣さもよかった。

 このドラマ化は、ちゃんとした笑いをベースにしながら、今回のように多少の誤解があってもこの2人はきっとこの先も大丈夫なんだろうなという安心感を、柔らかいながらも強く感じさせてくれるのが素敵だ。

 漠然とかかえる不安が2人を見ているだけでふと軽くなるような時がある。ただのグルメとか倹約とかだけではなく、そこにちゃんと人間の弱さや生き方が見えるもいい。

 ちなみに、店内に偵察にいったケンジは「40代なのに水気が多い感じ」な佳代子に微笑まれて、負けじと微笑み返しをするのだが、その笑顔もよかった。ついこの間まで徳川家康とかベテラン医師を演じていたとは思えない軽やかさ。

 ただ嫌っているのではなく、むしろ好印象な女性だけに複雑だという嫉妬と見栄が入り乱れる心理をよく現していた。

 

■原作を自然につなげる脚本

 翌朝、富永におすそ分けしてもらった名残のイチゴを使って作ったジャムをトーストに塗って食べる2人。この時の咀嚼音がかろやかで、最高に食欲を刺激された。

 後半は主に原作♯4をベースとしていたが、前半の♯2ベースとのミックス加減がとても自然。富永のイチゴと佳代子の食パンが混ざるラストは、意図はないのだろうが、綺麗な印象を受けた。ちなみに脚本は安達奈緒子さん

 リラックスして見られる内容ながらも、こっそりあちこちを刺激してくる『きのう何食べた?』。番組終了後の原作プレゼント告知まで2人が楽しそうでまるで尻尾までアンの詰まったたい焼きのような作り。次回もお腹すかして待ってます。
(文=柿田太郎)

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