昭和のカリスマ・石原裕次郎を筆頭に、渡や舘ひろし、神田正輝などの武骨な人気俳優を輩出する事務所は“石原軍団”として芸能界を席巻。比類なきダンディズムは世の女性をトリコに、そして世の男性の憧れとなった。一時代を築いた事務所の消滅は、令和という新時代の到来を感じさせる。
軸をぶらさず芸能シーンを駆け抜けてきた渡だけに、今回の引退示唆は渡らしい男の潔さを感じる。20年ほど前に「とんねるずの生でダラダラいかせて!!(日本テレビ系)」でとんねるず・石橋貴明にドッキリを仕掛けた渡と館。当時恐いものなしで芸能界を席巻していた石橋を、迫真の恫喝演技で震え上がらせた渡の姿に、“大人の恐さ”を垣間見た若者も多いはずだ。
スターも年齢には勝てないということだが、渡の幕引きの美しさには男の美学を感じざるを得ない。