■底値にとことんこだわる現実的な買い物シーン
仕事はしっかりこなすものの、無理せず必ず定時にあがるシロさんの楽しみは料理。しかも値段を吟味して手に入れたコスパの高い食材で、バランスよく多品目を作り、かつその食材を無駄に余らせたりせず次の献立に活かしたりして使い切り続けることに生きがいを感じる「本物」だ。
近隣スーパーの底値を熟知し、安くもない商品に付けられたおざなりな「激安」POPに憤慨する。得意ジャンルごとにスーパーを渡り歩くも、買ったばかりの低脂肪乳が次のスーパーで6円安く(92円)売っていたことに腹を立て、何の罪もないそこの店員にくってかかるシーンは、なかなかどうかしてました。この更に安い店が見つかるくだりはドラマオリジナル。
スーパーでの買い物シーンでは、店舗ごとに頭がおかしくなりそうなしつこい店内BGM(オリジナル)が延々繰り返されており、食品売り場の臨場感は抜群。
ちなみにランクの劣りそうな無名ブランドなどには手を伸ばさず「ごんべんのだしつゆ」(にんべんパロディのはず)など一定水準の商品を愛用している辺りから、安けりゃなんでもいいわけではないというシロさんの基準が垣間見える。
■倹約する理由
彼が限られた予算内(2人で1カ月2万5,000円)で、自炊でやりくりする理由は「やっかいな案件を一つ綺麗に落着させたくらいの充実感」を得られるからだが、ゲイであるがゆえ将来子どもに老後の面倒を見てもらえないだろうという覚悟から倹約してる部分も強い。
そのため、金曜ならスーパーで2割引で買えるハーゲンダッツを、わざわざコンビニで正価で買ってきてしまうケンジのキリギリス的な部分を疎ましく思っている部分がある。だが、そこにはケンジの将来を案じるシロさんの優しさや、シロさんに食べさせてあげたいというケンジの優しさが、それぞれ存在する。