テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

【連載75】手先の器用さはもちろん、笑いのセンスも問われる美術さん

編集部
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「このセットさぁ~、意外とお金かかってんだよ」

  スタジオに組まれたセットを見ながら、番組プロデューサーがつぶやいた。
  さほど豪華には見えないが、だいぶお金をかけたらしい。

  セットは番組の世界観を表す重要な役目を持つ。
  だから、美術スタッフは打ち合わせの後、何度も設計図を描き、誰もがイメージしやすいようにセットの模型を作る。

  演出サイドはその模型を見ながら再び要望を出し、美術さんは修正していく。
  こうしたやり取りを繰り返しながら、最終的に建てるセットが決まる。

  他人の頭の中身を具現化する仕事でもあるし、時には卓越したセンスを見せなければならない。
  お金をかけられない場合は、アイデアでそれを乗り切ることが要求される。
  座るイスや装飾品も、美術さんのセンスひとつで番組の雰囲気を大きく左右する。

  セットだけでなく、既存で揃えることができない小道具をゼロから作り上げるのも仕事だ。
  しかも、ただ作ればいいというわけでなく、いかに世界観を理解しているかを問われる。

  例えば、コントで何気なく置かれている酒瓶に書かれている商品名(架空の酒の名前)なども、番組でメインを張る芸人がいかにも考えそうな名前でなければならない。

  もちろん、ディレクターや作家が考えることもあるが、そうした細かい部分にこだわる美術さんもいる。
  手先が器用なだけでなく、笑いのセンスだって問われるのだ。

  よって、番組全体の理念や出演しているタレントのテイストを頭の中にしみ込ませておかねばならない。

  ある芸人の場合は、その日の気分によって身につける被りモノがコロコロと変わる時がある。
  そうした事態に備えて、被りモノをいくつも用意しておく必要がある。

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