テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

【連載73】本当に危機なのはキー局!? 地方プロダクションが新たな戦略で地方局を盛り上げる!

編集部
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「では、かんぱーい!」

  目の前のパソコンの画面には、地方プロダクションの社員・K氏が映っている。
  インターネット電話サービスの「スカイプ」を使って、打ち合わせを行っているのだ。
 
  電話を使って声だけで話すよりも、顔が見えている方が相手の表情が見える安心感からか、より腹を割って話しやすい。
  それでも最初は、かつて夢見た近未来を体験しているようで慣れずに戸惑ったが、今では普通に会議を行っているのと同じように自然な流れで会話ができる。
  実際に会ってこそいないが、K氏のことはよく知っているつもりだ。

  多チャンネル時代を迎え、地方のテレビ局が危機にさらされている。
  そもそも地方局は予算も少なく、在京キー局が制作した番組を放送する割合が大きい。
  ましてや、キー局が番組のネット同時配信に踏み切った場合は、存在の危機にさらされると言われている。

  地方のテレビ制作会社もそれは同じで、地方局の仕事しか請け負っていないところなどは、たちまち経営が立ちいかなくなってしまうだろう。
  K氏のプロダクションも、かつては地方局の番組制作のみに力を注いでいた。

  じつは、1996年からスタートした『水曜どうでしょう』(北海道テレビ放送)をはじめ、地方発のヒット番組は数多い。
  それは、常に数字(=視聴率)を求められるキー局と違い、思い切った企画で勝負できるという土壌が地方局にはあるからだ。

  しかし、長引く不況で広告費が激減し、地方局は外部発注を抑え、制作をなるべく自局で行うようになった。
  そうなると、地方プロダクションが干上がってしまうのは自然な成り行きだ。

  だが、K氏のプロダクションは海外に活路を見出した。 海外の放送局は、日本の文化や歴史に非常に興味を持っている。
  また、原発や災害などにも関心が高い。
  そこで、海外のクルーと組んで、日本を題材にしたドキュメンタリー番組の制作を行うようになった。

  さらに、自分たちで地元の企業に営業をかけてスポンサーを募り、さまざまなアイデアが出るように企画や番組構成なども自分たちのような東京で活動している放送作家やクリエーターにまで声を掛けているのだ。
  もちろん限られた予算ではあるが、集めた資金を最大限に活かして、クオリティの高い番組を作ろうとしている。

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