テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

【連載65 】仕事をほったらかして行方をくらましたテレビマンの末路

編集部
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「アイツ飛びやがったよ!」

  スマホから聞こえるプロデューサーの声は、いつもと違ってピリピリとしていた。
  話を聞くと、仕事を依頼したディレクターHが飛んだというのだ。

  もちろんHが突然鳥になったわけでも、棒高跳びの世界記録を35回も更新したセルゲイ・ブブカのように鳥人になったわけでもない。
  行方をくらましたのだ。

  人は何か大きなミスを犯したとき、トンデモナイ行動に出る。
  最近だと、線路に降りて逃走する痴漢容疑の男たちがそれに当たるかもしれない。 Hは飛んだ。決して空をではない。
  “高飛び”ってヤツだ。

  旧知のプロデューサーから仕事を依頼されたHは、かなりのやる気を見せていたらしい。
  何しろ離婚したばかりで、養育費などとにかく金がかかるという。

  率先して現場をロケハンし、自分なりに構成を考え、ロケ台本を作成していた。
  技術スタッフの発注や、ロケ先との連絡のやり取りなども一手に引き受け、予算のない番組のために、自ら仕込みを行っていたハズだったのだが…。

  ロケの2日前に問題が発覚した。

  ある芸能プロダクションからスケジュール確認の電話がプロデューサーにあった。
  「ウチのタレントは明後日一体、どこに何時に行けばいいのか?」と。

  怒りをにじませたマネージャーの声に、プロデューサーは恐縮するも、このときはHの連絡ミスだろうくらいにしか思っていなかった。
  しかし、冷静になって考えてみるとロケの2日前である。
  当然、レポーターとして出演するタレントのもとに当日のスケジュールが渡っていなければおかしい。
  平謝りで電話を切ったプロデューサーは、すぐさまHに電話をかけた。

  ところが、繋がらない。 その後、何度もかけたものの、まったく電話に出る気配すらない。
  悪い予感のしたプロデューサーは、技術スタッフに連絡をとった。
   すると、ロケがあることすら知らないというアンビリーバブルな事態になっていたのだ。

  何度も言うが、ロケの2日前だというのに。
  つまり、当日カメラや音声を担当する技術スタッフに一切、仕事の発注を行っていなかったということになる。

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