過熱化するメディアの薬物疑惑報道の先にある危機感

編集部
「麻薬事案に関しては、基本的に所持や使用の現逮(=現行犯逮捕)が前提となります。逆に言えば、どんなに記事内容に自信があっても、記事対象者が逮捕されない限りは罪が確定しない。当然、逮捕されていない段階での報道に関して記事にしたメディアは、記事の対象となった芸能人や有名人、芸能事務所などから訴訟を起こされるリスクもあるわけです」(一般紙記者)

  そのため、以前は多くのメディアがどんなに疑わしい取材対象に関しても、こと薬物事案については「X」や「Y」などすぐには特定しにくい表記や伏字でその存在をにおわす程度の報道にとどめていたわけだが、最近では疑惑の段階で、分かりやすいイニシャル表記や時には実名で報じるケースも出てきている。

  こうした報道姿勢の裏には、メディアを取り巻く厳しい状況も色濃く影響しているようだ。

「娯楽の多様化に加えて、ネットの普及により、真偽はともかく、かつてはベールに包まれていた芸能界の仕組みやカラクリに関する情報が巷にあふれている昨今。昔に比べると芸能界の求心力は低下し、世間の芸能界に対する興味や関心は明らかに薄れていると言えます。その結果、かつては芸能ニュースの花形とも言われた“熱愛”や“交際”の恋愛絡みの記事などは以前ほど反響を呼ばなくなり、読者の求める記事のハードルもより高いもの、よりえげつないものになっている印象です」(スポーツ紙デスク)

  さらにこう続ける。

「例えば、最近の芸能ニュースの傾向としては、恋愛絡みでも単なる色恋だけではなく、“不倫”や“二股”などの要素が絡んで初めてハネるし、“共演NG”や“不仲”なども注目を集めやすい印象です。そうした中、芸能人や著名人の“薬物疑惑”もハネやすい案件なわけですが、記事に書かれた方も書く方も大きなリスクを背負っているという意味では、いつか大きなトラブルに発展する可能性も秘めていると思います」

  今後も、キャッチーかつバズる記事として週刊誌やネット媒体による芸能人、著名人の薬物疑惑報道は過熱化することが予見されるが、その行きつく先には一抹の不安を感じずにはいられない。

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