テレビの裏側をコッソリ暴露! 謎の業界人集団「チーム・スパイス」の業界裏日誌

【連載11】あれってアドリブ!? バラエティ番組におけるタレントの発言はどこまでが台本通りなのか?

編集部
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「なかなかやるじゃねぇか…」

  “サブ(=副調整室)”でモニターを見つめる先輩作家のOさんが、ボソッとつぶやいた。
  モニター画面には、スタジオで爆笑を取ったお笑い芸人の誇らしげな顔が映っている。

  放送作家は、番組の台本を書くのが仕事だ。
  まあ、企画書を作ったり、ナレーション原稿を書いたり、取材に行ったりと、その他にも仕事は色々とあるが、基本的には日々台本を書いている。
  会議で決められた番組の進行や内容を文字に起こして、オープニングからエンディングまでの”流れ”を本にする。
   例えば、トーク番組ならばMCの挨拶コメントから始まり、ゲストの登場&紹介、トーク内容、想定される会話のやり取り、締めのコメントまでの進行、展開を書き込んでいく。

  ただ、番組の台本はあくまでベースに過ぎず、出演者は書いてあることを絶対に言わなくてはならないというルールはない。
  出演タレントがいわゆる”アドリブ”をかませることはしょっちゅうで、むしろいかに、気の利いたコメントをして、その場を盛り上げられるかが、彼らの腕、つまりは実力ということになる。
  売れっ子と呼ばれているタレントほど、そのアドリブが上手く、台本以上のパフォーマンスを発揮するのは言わずもがなだろう。

  今、スタジオではお笑い芸人による大喜利が収録されていた。
  大喜利は、与えられた“お題”に対していかに笑える回答できるかが勝負となる。

  内幕を明かすと、こうした場合、我々のような作家は会議で決めたお題に対しての“回答案”をいくつも台本に書いておく。
  芸人に対しては、番組の収録前の打ち合わせの時点ですでに“お題”は伝えており、各自に本番前までに回答を考えておいてもらうのだが、その際に台本を見せて、「こんなのもありますが…」と一応こちらで考えた回答案を示し、参考にしてもらうわけだ。

  もちろん、そうした回答案を使うか、使わないかは芸人次第。
  ただし、使う場合はあらかじめ「これでいく」という意志を、他の共演者に伝えておく必要がある。
  何故なら、本番で“答え”が被ってしまうというのは、バラエティ番組において最悪の展開だからだ。

  とある番組の打ち合わせで、チラっと台本に目を通しただけで、その場をすぐに去って行った芸人がいた。
  元々コンビでデビューしているが、解散後はバラエティ、ドラマ、映画、小説とさまざまな分野で才能を発揮している売れっ子芸人Aだ。

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