北川昌弘の「美女&美少女的ドラマ独偏批評」その20

石原さとみ、ついに華道家として覚醒!? 愛蔵渦巻く『高嶺の花』第7話レビュー

編集部
ドラマの“質”は脚本家で決まるのか、あるいは演出家、プロデューサーで決まるのか? 確かにそれもあるだろう。だが、作品に彩りを添えるのは女性キャストだ! 稀代の美女&美少女ウォッチャー・北川昌弘が送る、女性キャストから見るドラマ評――。

 第2章に突入し、視聴率も9.9%と回復傾向。神宮流の後継者で龍一の兄でもあり、超能力者的な神宮兵馬、そして読書好きなメガネ美女の看護師・新庄千秋の重要キャラ二人が登場。ななは母と恋する宇都宮のまぐわう姿を見て華道家として覚醒へ? そしてついに宇都宮龍一の正体と狙いが明らかに。

 もも(石原さとみ)と風間直人(峯田和伸)の結婚式場、まさに誓いのキスの直前。式場にももの元婚約者・吉池拓真(三浦貴大)が現れ、映画『卒業』よろしく、ももの手を引いて式場を連れ出す。振り返ったももが見たのは微笑むぷーさん=風間直人。

 以上が前回のラスト。そして第2章に突入。

 ももの家に着いた、ももと吉池。ももの家にいたのは、吉池の妻で臨月の真由美(西原亜希)。戸惑う吉池だが、

もも「ちゃんと向き合って。もうすぐ予定日なのよ。離婚する? そうしたいなら、その話も二人でして」
拓真「だったら今日のことは?」
もも「今日のことは儀式かな。私は恋愛も結婚も向いていない。独りで生きていくって決めた、儀式」
拓真「意味がわからない」
もも「わからなくていい」

 私から見ても、拓真は、家元が仕掛けたハニートラップにひっかかったとわかって、被害者面しているのが、納得いかない。ももとの結婚を控えていて、どうしてハニートラップに引っかかるのか? しかも、妊娠させているんですよ(石原さとみレベルの婚約者がいたら……ドラマ以外ではありえない)。

 真由美も家元の指示だったことは認めつつも、好意を持ったから拓真に接近したと以前告白していたし。幸せにやっていけよ。ほぼ、役割は終了か。

 ももはももで、ぷーさんの微笑みに悩む…

☆タイトル入る

 佳代子(笛木優子)のお店では、運転手サン(升毅)がみんなに平謝り。

佳代子「なんで、あんなことしたんですか、理由は?」
運転手サン「罪悪感を抱きながら、独りで生き、華道に向き合うこと。もも様はなんとしても華道家として立ち直らねばと、私生活の幸せを自ら叩き壊されたのだと。もう一生恋愛はしない、結婚も、子供も産まないと」
佳代子「でも、それはももさんの都合ですよね。相手を踏みにじっていいとは、到底ならない」

 土下座する運転手さん……。

風間「大丈夫ですから、頭あげてください」
田村(袴田吉彦)「実の父親、ここに連れてきてさ」
運転手サン「それは…」

 名乗るわけにも行かず、複雑な表情

風間「だから、おれがイイって言ってるんだよ」

 なぜかそこにカエルの置物とモネの睡蓮の画集があり(図書館に返したのではなかったっけ)、

風間「酷いことって、許容できる範囲だったら問題ない。ももさんがモネで、睡蓮が生花、描いてほしいカエルがオレ」

 この例えはよくわからなかったが、高嶺の花のももとのワンチャンをぷーさんはものにしたわけで、それだけでも夢のようなことだと私は思う。実際に結婚していたら、次々と難題がやってきそうな名家なわけで、その面倒がなくなった上に、被害者ヅラできる……願ったり、叶ったり? 私は正直、ぷーさんがうらやましいが。

 ももの生花がある自宅へ戻ったぷーさん。少し散った花びらを集めて、涙。

風間「何これ、嘘でしょ」

 そして新キャラ登場☆

 神宮流家元候補の神宮兵馬(大貫勇輔)。家元(小日向文世)、その妻のルリ子(戸田菜穂)、ももの三人との会食。

兵馬「あなたが後ろ生けの妙手と評判の……」
もも「お恥ずかしい限りでございます」
兵馬「でも、今は見えないようだ」とあっさり見抜いた?
もも「はっ」
兵馬「空蝉の自分が」
家元「恐れ入ります」

 その頃ななは宇都宮のイベントに。

なな「みるみるお客さんが増えてる」
宇都宮「会いに行ける華道家、AKB商法ね」
なな「おねえちゃんと競うことになったの」
なな「あなたのために、できる限り頑張る。お姉ちゃんには敵わないかもだけど」

 そこに母親のルリ子から電話。今夜の会食をふっとばしてここにいるらしい。

なな「変に見合いみたいになるのがいやだし。京都の次期家元が来ているらしいの」
宇都宮「神宮流の」

 妙に慌てる宇都宮。月島の次期家元を決める姉妹の俎上の話に、

兵馬は「みたいな」
家元「構いません」
もも「ところで兵馬様、宇都宮龍一という華道家をご存知ですか」
兵馬「ああ、よく知ってますよ。弟です。母親の方はよくは知りませんが」

 宇都宮の正体が判明した☆

 ありゃまあ、宇都宮は月島の家元ではなく、神宮流のご落胤だったか。では、もも自身も知らない、もも出生の秘密を宇都宮に教えているのは? でも、家元は龍一が兵馬の弟であることを知っていたのだろうな。

 自転車で日本一周の引きこもり少年(舘秀々輝)は、実は、佳代子の娘の芽衣(田畑志真)が好きだったことが判明。

 一方、ぷーさんは、微笑んだことを、ももの心に種を蒔いてしまったと反省していた。そのことをコスプレ娘(高橋ひかる)と芽衣になにげに話す。

 ももの家では、ななが、ぷーさんが回収していた婚姻届をももに渡す。ももはななが行く前にぷーさんが結婚できないことを知っていたことを知る。

なな「好きな人がいる方が私は力がでる」
もも「あんたの彼…」

 何かいいかけたが……。さらに新キャラ登場。図書館でぷーさんは眼鏡の美女(香里奈)と遭遇。「責任と判断」という本を取り合う。ただ、図書館の常連でこれだけの美人なら、前にも遭遇していた方が説得力あるのに。

 高層ビル、花を飾ったホテルのロビーのような場所(どこ?)。家元と宇都宮が密会。

家元『ルリ子はいそいそとめかし込んでいた。キミと逢う約束を? それなら今日にでも決行するんだな。まさか、いまさら、ためらっているんじゃなかろうな』宇都宮「ななさんはショックで壊れてしまうかもしれない」
家元「それでいい。この世の穢れを知らぬ者に、この世の美しさがわかるハズがない」
宇都宮「穢れを知らぬまま、幸せに過ごす人もいます」
家元「普通の女ならそれもよい。しかし、道を極めんとする者はそれではいかん。月島に協力するのだろう?  首尾よくやってくれれば、月島もキミに借りを返す」
宇都宮「わかっています」

 運転手サン登場。

家元「兵馬くんと食事の席をともにした。あれは怪物だな。久しぶりに華道界に現れたモンスターだ」
宇都宮「温室育ちのぼんぼんですよ」
家元「そうかな」

 家元と宇都宮はあくまで利害関係が一致した契約関係? しかも、お兄さんを非常に高く評価して牽制というか、挑発している? なのにももの出生の秘密は共有している不思議な関係。

 一方、ももと兵馬はゲームセンターでデート? とても華道界の名門の跡継ぎ候補とは思えないが、

兵馬「龍一が私を憎んでいる?」
もも「虐げられた者にしか、痛みはわかりません」
兵馬「それは龍一が婚外子だから?」
兵馬「つまらない憎悪だな」
兵馬「環境に左右される魂なんて、下品だ」
もも「逆のお立場だとしたら」
兵馬「その質問は無意味だ。変えようもないんだから」
もも「空蝉の自分」
兵馬「キミは“もうひとりの自分”と呼んでいるんだね」
もも「兵馬様はそれが見えなくなったことはないのですか?」
兵馬「うん、ないよ」
もも「それは、私には人を愛したことがないと聞こえます」

 部屋でシャワーを浴びる宇都宮(このドラマはとことん千葉雄大の肌の露出度にこだわる)。宇都宮のところへ向かうなな。部屋で逢瀬を楽しむ宇都宮とルリ子。

 クレーンゲームで取れた熊のぬいぐるみをももにプレゼントする兵馬。自分の一番大切な人が母親とまぐわっているところを目撃するなな。

ルリ子「どうして」

 ショックで出ていくなな。

ルリ子「なな」
宇都宮「あ、そっか、ドライブ行く約束してたんだっけ」

 倒れている坂東(博多華丸)を見つけた引きこもり少年。図書館にいたぷーさんに連絡。そこにいたメガネ美女。メガネ美女の車で山梨の病院へ。ものすごい運転にややビビる(図書館に車でやってくる看護師もなかなか)。

 宇都宮のイベントにやってくるもも。観衆の面前で、そこにあった花で宇都宮を殴る。
どうやら、宇都宮がももに連絡した模様。

もも「何度掛けてもななは出ない」
もも「いつからなのルリ子さんとは」
宇都宮「随分前からですね」
もも「最悪ね、あなたはもっと賢い人間かと思っていた」
宇都宮「通過儀礼だったんですよ」
宇都宮「彼女が華道家として開眼するための」
宇都宮「月島のたゆたう光と影、清さと濁り、愛と憎しみ」
もも「まさか、お家元が」
宇都宮「あなたの結婚をぶち壊したのと同じようなことだ」
もも「ルリ子さんは妻なのよ。自分からあなたに誘惑しろと指示したって言うの」
宇都宮「入り口、近づいてきたのは彼女の方です。実の娘であるななさんを次の家元に。そういう意図で、オレと手を組みたいと」
もも「そこまでは想像がつく」
宇都宮「夫婦はもう長い間セックスレスだったと。若いオレが誘えば、容易かろうと、ええ、お家元が。交換条件だったんです。月島とオレの」
もも「あなたの方の要求って?」
宇都宮「京都の。神宮流の次の家元になりたい」
もも「兵馬さんと?」
宇都宮「戦うんですよ。あなたたち姉妹と同じように」
もも「ウチと京都じゃ、規模が違う」
宇都宮「ええ、京都のお家騒動は日本華道界を揺るがす。俎上ともなれば、協会にあがる。理事である各流派の家元が審査することになる。破綻寸前の3流派はおさえた。問題はあと1票」
もも「月島の票をあなたに」
宇都宮「これで4票。オレが勝つ」
もも「卑怯者」
宇都宮「卑怯者はあいつだ。本妻の子というだけで、何不自由なく贅沢してきたんだ」
もも「消えればいい。そんな言い訳、わざわざ私に聞かす必要なんてない。ななを壊すミッションが終わったのなら、私に電話なんてしてこないで。そのまま消えればよかったのに」
宇都宮「それは」
もも「いまさら、ななのことが心配?」

 図星のよう?

もも「哀れだねえ。普通に生きられない人間は。まあ、私も似たようなものね」(ここで、ももの出生の秘密も言っちゃえば…)

 山梨の病院にネガネ美女の車で着いたぷーさん。なぜか少年の日本一周自転車が病院の前に(止めた車で坂東を病院に運んだのではないのか?)。坂東は意識を回復。りっちゃん(野口かおる)も病院に。誰がどうやって呼んだんだろうか? そして少年はまた自転車で出発。ななは月島の蔵にいた。なぜ、血まみれ。裸足で歩いたから? だったら蔵に入る前に病院か。鏡を割ったから? 首や腕にも血が。結構、ボロボロに壊れている感じ。

 メガネ美女とぷーさんが道の駅みたいなところで食事。メガネ美女は新庄千秋。看護師らしい。結婚しているか聞かれて、

風間「なんちゃんてバツイチです」

 一方、ももと兵馬が高級そうなレストランで食事。

兵馬「妹さんの容態?」
もも「かかりつけの医者に」
兵馬「龍一と何か関係がありますか?」
もも「いいえ、まさか」
兵馬「あなたは嘘をつくのが下手だ」
もも「あなたは嘘を見抜くのが上手?」
兵馬「空蝉を、もう一人の自分を取り戻したいですか?」
もも「取り戻せたハズなんです。私はある人にとても悪いことをして、その罪悪感とともに孤独に向き合い……」
兵馬「まあ、その相手をすぐには忘れられないということでしょう」
もも「でしょうか」
兵馬「あるいは忘れたくない気持ちがどこかに」
もも「いえ、そんなことはありません」
兵馬「種を蒔かれた?」
もも「え?」
兵馬「その人に種を蒔かれたんでしょう。知らぬ間に、心に」

 ぷーさんの微笑みの挿入。

もも「私は、亡くした母のために、妹に勝たねばなりません。月島の家元にならねば」
兵馬「それが何よりも大事?」
もも「正直、わかりません。もしかしたら、もっと本質的に、華道家としての欲が……。もうひとりの自分が見えていた時、すべては消えて、私は作品と一体化できた。あの高揚感」
兵馬「これ以上ない官能、エクスタシー」
もも「はい」
兵馬「見る者を魅了する魔性。あなたは大きな蝶となり、花の周囲を舞い、仄かに鱗粉を散らす」
もも「あの、自分を取り戻したいのです」
兵馬「なら、迷うことはない。まだ、恋愛感情のない相手と結ばれればいい」
もも「(かなり間があって)お戯れを」
兵馬「いや、心の種が差し支えなのです。そうすれば、種は燃やせる」

 なんか、このまま、結ばれそうな展開……。さすが、色男は違うと思いつつ。それにしても超能力者か。“心に種を蒔く”という比喩的表現まで、ぷーさんと同じとは出来すぎ。でも、解説としては分かりやすいか。

 ななを看病する家元。

家元「私はお前を追い詰めすぎていたかもしれない。鏡の間で…」
なな「違うんです。母さん」
家元「ルリ子が」
なな「お家元を裏切っているのです」
家元「かわいそうに。何を知ったのかわからんが、私はお前の味方だからね」
なな「おとうさん」(お家元から変化した)
家元「悲しいこととか、自分を正当化するために嘘をつき、得を求めて裏切り、しかも、後悔も反省もない人間は多い」(誰のこと? 自分のことじゃないの)
なな「はい」
家元「それらを強く憎み、その暗闇で藻掻きながら、一条の美しい光を探す。それが月島の真髄。月島の家元になるということだ」
なな「はい」
家元「一方で、それらを諦め、許容し、折り合いをつけていく生き方もあるが」
なな「私は許しません。絶対に許しません」

 これは家元になるべく覚醒したということなのだろうか。

 自宅のもも。鏡に歪む顔……。あれ、兵馬とはどうなった? 結ばれてない? アクアマリンの指輪がまだある。

 佳代子の店で潰れているぷーさん。ももちゃん現る。

もも「これ。返さなくちゃって」

 指輪を返す。

風間「わざわざすいません」
もも「私みたいなメチャクチャな女じゃなくて。ぷーさんにはもっと絶対いい女が現れるよ」(もう、千秋が現れている)
風間「ありがとうございます。オレのことは心配しないでください」
もも「そう」
風間「ちょっと、一瞬、分不相応な夢を見ちゃっただけですから」
もも「悪夢でしょ、結果的に」
風間「結果が全てだとしたら、人生は虚しい。過程が最高ならなおさらです」
もも「最高?」
風間「はい。あなたは高嶺の花。どこかで咲いているだけで、生きているだけでいいんです」
もも「(かなり間があって)うん」
風間「うん」
もも「だからあの時、笑ったんだって、そう思っていい」
風間「そうです」
もも「おやすみなさん」
風間「おやすみなさい」

 みんなに深く一礼して出ていくもも。

「さようなら」ではなく「おやすみなさい」だったのが印象的。最終的な別れではない?

 タクシーの中で泣くもも。(運転手さんの車ではなかった)

 それにしても、ももの最初の結婚の結婚式当日の破談から、ぷーさんを利用してリハビリする展開とか、今回の母親と宇都宮の情事をななに見せることといい、家元の思惑通りに事は進んでいるのは見事。

 ということは、本気で、ななを華道家として覚醒させるべく、さらに突き進むのか。ももを噛ませ犬として利用して。

 もも本人も知らないももの父親が運転手さんだということを。運転手さんはともかく、宇都宮も知っているのが不思議だなあ。隠していても問題ないのに。宇都宮の目的が神宮流の後継ということが、ちょっと無理がありそうだが、はっきりした。

 ルリ子さんとの情事が発覚したことで、ももやななとの交際はありえなくなったということだろうし。

 次回予告。

 ついに姉妹対決。その結果は? ももが入っている花風呂の脇の男性は兵馬? でもバスローブのももを抱えているのはぷーさん。ネット予告の方では、佳代子の店に千秋さん登場。ももは生まれ変わるために兵馬に抱かれる?

北川昌弘(きたがわ・まさひろ)
1957年、北海道生まれ。成蹊大学卒業。美女&美少女ウォッチャー。執筆活動やメディアへ出演する一方、各地の芸能イベントでの取材活動を行い、アイドルランキング『T.P.ランキング』の資料収集に従事。1991年〜1992年オーディション番組『ゴールド・ラッシュ!』(フジ)の審査員。1996年〜『ザテレビジョン』ドラマアカデミー賞審査員。

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